STEAM交え理系女性活躍やジェンダーギャップ解消めざす教育を(日本女子大学理事長・今市涼子さん)
当時の社会状況もあり、日本女子大学では学生間でよく議論をしましたが、旅行にもよく行きました。他大学の男子学生と交流しながら学び合う機会も結構多くありました。
卒業後は千葉大学理学部の文部技官になりました。千葉大では、3浪の学生もいましたので、学生の方が年上ということもありましたね。今は現役進学が主ですが、当時は色々な学生がいました。でも、ここでは、どうしてもリーダーシップは男性が取っているように見えました。例え女子学生の方が成績優秀でも、「頭は良いけど」と「けど」が付く。女子大学卒業生としては、違和感がありました。その後、玉川大学農学部でも教壇に立ちました。
私は若い頃、「ロールモデル」という言葉にピンときませんでした。でも、研究者として過ごしていくうち、その大切さに気付きました。日本女子大学に移った当時、理学部には本学出身の素晴らしい女性研究者が複数いらっしゃって、励みになりました。大型研究費も獲得してくるし、学会でも評価されている。そんな先輩を見て、「ロールモデルも大切である」と考えるようになりました。理系では少ないロールモデルが教員に限らず在学生、卒業生など身近にいることで、自分の目標や理想の姿を具体的なものにできる環境があります。
植物の研究続け学会賞受賞、学生には優先順位の大切さ説く
―2024年3月には日本植物分類学会の学会賞を女性研究者で初めて受賞しました。 私は、植物の器官(根、茎、葉)の起源や、分類形質として重要な器官の形態、特に様々な環境への適応形態の進化について研究をしてきました。熱帯地方の植物を材料にすることが多く、調査を行った国は16か国以上にのぼります。現在は、シダ類の配偶体と菌根菌の研究を行っています。シダ類も含めて、大半の植物が地中の根に菌根菌を共生させているのはよく知られた事実ですが、地表で光合成を行い、わずか1センチメートルくらいと小形な配偶体にAM菌(アーバスキュラー菌根菌)が多くのシダ種で共生していることがわかりました。なぜ菌が必要なのか、どんな共生関係を築いているのか、興味深いです。