親が叱らずに済む「肯定的な注目」の効果がすごい 子の行動3分類、ナレーションで無理なく続く
親の気持ちにもっと寄り添うため、ママ友ドクターに
春の小学校入学に向けて、発達特性のある自分の子どもが学校でなじめるのか不安に思う保護者も多い。子どもの将来のために未就学児のときからできることや、入学に向けて取り組むべきことはあるのか。「子ども発達相談アカデミーVARY」を主宰、自身の息子も発達特性を持つ発達専門小児科医の西村佑美先生に聞いた。 【写真を見る】発達特性がある西村氏の長男が、年長頃から入学まで「できたこと」などを記録していたノート ――現在は「子ども発達相談アカデミーVARY」を主宰し、発達特性のある子どもを持つ保護者の支援を行っていると伺いました。保護者の支援を始めるまでの経緯を教えてください。 私は最重度自閉症の姉と育ちましたが、40年以上前は今ほど発達障害や発達特性のある子どもに理解のある世の中ではありませんでした。そのような子どもが通うのは小児科や発達専門の相談機関ではなく精神科で、薬で困りごとを治療をしようとしていた時代。自閉症は親の愛情不足のせいと誤解されていた時代でもあり、母も周りから責められることもあったそうです。 しかしここ10年で状況は変わってきました。研究や理解が進み、発達障害として治すべき精神科的な病気ではなく、発達特性は生活と教育環境を整えてあげることで強みや個性、才能として伸ばしていこうという考え方に変わりました。私自身、そのような親子をサポートしたいと思い小児科医になりました。その後、今でこそしっかり者に育った長男ですが、幼少期は言葉の遅れや多動などの特性が目立ち育てるのに苦労したので、母としての経験も沢山積みました。しかし、専門医として診療室にいると、あくまで医師視点の話しかできず、同じように子育てに悩む親として目の前の親の心に親身に寄り添うことができないと葛藤するように。 接し方を変えるだけで子どもの将来が変わることを伝え、もっと親身になって相談にのりたいと考え、まず2020年に「ママ友ドクター」プロジェクトを始動しました。 ――具体的にどのような活動をされているのでしょうか? スタート時はコロナ禍ということもあり、インスタライブや個別でのオンライン相談会、セミナーなどを中心に開催。“ママ友”として私自身の体験などを聞かれることも増え、アドバイスをすることも増えました。そして2022年に、ママのためのオンラインコミュニティ「子ども発達相談&ゼミVARY」を設立しました。 親は「自分の子どもは普通とは違うかもしれない……」と悩んでしまうとネガティブになり、誰にも相談できずに孤独になってしまいがちです。コミュニティを設立したことで「一人じゃない」「同じことで悩んでいるママ友がいた」と勇気をもらった方も多く、気づくと海外6か所を含め全国にのべ140人の大人数に。そこから2023年には私のような小児科医やその他の専門家、そしてメンターのように活躍できるママ達を増やしていくため、「子ども発達相談アカデミーVARY」へと発展していきました。