日本の体験格差と同じ…インドの貧困家庭に育った青年がNYでプロダンサーになるまで
日本で「体験格差」が話題となっている。その名の通り『体験格差』という著書を敢行した今井悠介さんは、2022年12月に文部科学省の記者会見にて「低所得者層の小学生の約3人に1人が”1年間体験ゼロ”」と発表した。それだけ現代日本でも貧富の差が激しくなり、貧困家庭が増加し、その影響が子どもたちに押し寄せていることがわかる。 【写真】現在のマニーシュ・チャウハンさん。恩人との出会いが人生を変えた では、最も貧富の差が激しいとも言われるインドではどうなっているか。 マニーシュ・チャウハンさんはインドの貧しい家庭の出身。路上でブレイキンを見よう見まねで習得し、ダンスシューズも買えないから、破れたお下がりをもらう。バレエの師や、資金を支援してくれる人に出会い、ニューヨークでプロのダンサーになり、2020年のNetflix映画「バレエ 未来への扉」には本人役で出演した。そんな彼の半生を描く映画『コール・ミー・ダンサー』が11月29日から新宿シネマカリテほか全国で公開されている。来日したマニーシュさんに、ジャーナリストのなかのかおりさんがインタビュー。 前編ではダンサーという職業や格差、将来について伺った。日本の体験格差について彼はどのように受け止めたのか。 マニーシュ・チャウハン 1993年12月28日生まれ、ムンバイ出身。 大学生の時にボリウッド映画を観てダンスに興味を持ち、ブレイキンを独学で学び始める。人気リアリティ番組に出演し注目を浴び、ムンバイのダンスワークス・スクールに通い始める。そこで、イスラエル系アメリカ人の師イェフダ・マオールと出会いバレエを学んだ。クラシックバレエの技術を短期間で習得した彼は「プロのダンサーとして世界で活躍したい」「僕をダンサーと呼んで(=コール・ミー・ダンサー)」と、人生をダンスに捧げる。2020年、自身の半生を描いたNetflix映画「バレエ:未来への扉」で自身の役を演じた。現在、ニューヨークのペリダンス・コンテンポラリー・ダンス・カンパニーで活躍している。