東京・京都のほか大阪・兵庫でも始まった「日本版ライドシェア」 大阪府・市は独自の「大阪版ライドシェア」構想も
タクシー会社が運行を管理する「日本版ライドシェア」
日本でライドシェア導入の検討が進む1つの契機となったのは23年10月下旬、岸田文雄首相が行った臨時国会の所信表明演説です。岸田首相はこのとき、「地域交通の担い手不足や、移動の足の不足といった、深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでまいります」と宣言しました。 その後、デジタル行財政改革会議での協議などを経て、24年3月下旬に国土交通省がライドシェア事業に関するルールを定めた通達を発するに至ります。 この通達では、ライドシェア事業を「タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供することを可能とする制度(自家用車活用事業)」と表現。ライドシェア事業が行えるのはタクシー会社のみで、営業はタクシーが不足する区域・曜日・時間帯に、運行車両数も不足するタクシーの台数以下にそれぞれ制限されています。 タクシーが不足する区域や曜日、台数などの条件は、国土交通省がタクシー配車アプリのデータを元に割り出し、公表します。3月中旬には、東京都や京都府などの都市部を含む4区域について公表。このうち、京都府内の区域(京都市域:京都市、宇治市、長岡京市ほか)では、月・水・木の16時台~19時台と火~金の0時台~4時台に各200台、金~日の16時台~翌5時に490台が不足しているとされました。 4月上旬、京都市域では国の許可を受けたタクシー事業者が、国交省が公表した条件にしたがって「日本版ライドシェア」の営業を開始しました。 同月下旬には、国交省が大阪府と兵庫県などの8区域についてもライドシェア営業が可能な曜日・時間帯などを公表。このうち、大阪府(大阪市域:大阪市、豊中市、東大阪市ほか)は土の0時台~3時台に420台、金・土の16時台~19時台に240台、兵庫県(神戸市域:神戸市、尼崎市、西宮市ほか)は水・金の0時台~3時台に100台、金・土の17時台~翌5時台に510台が不足しているとの条件が示されました。 その後、国交省はタクシー会社からの申請を審査した結果、5月30日に大阪府の5社、兵庫県の2社の運行を許可。このうち、両府県で許可を受けた東京・日本交通は早速、翌日の同月31日に両府県で営業を開始しました。