「売れても売れなくてもいい。とんねるずで歌いたい」――木梨憲武、60歳から「もっと遊ぶ」宣言
「死んじゃいましたんで、生き返ろうと思ってます!」。まもなく還暦を迎える木梨憲武。長寿番組が終了した後も落ち込まず、お笑い、音楽、アートと動き回っている。「悲しさがないから、悲しい絵は描けない」。その明るさはどこから来るのか。少年時代の思い出から、相方・石橋貴明との関係、とんねるずとテレビ、妻・安田成美との日常。身辺をしゃべり倒すうち、少し理由が見えてきた。(文中敬称略/撮影:木村哲夫/Yahoo!ニュース オリジナル RED Chair編集部)
「死んだ」とんねるず、生き返る
『とんねるずのみなさんのおかげでした』が終了したのは、今から4年前。30年近く続けてきた番組が終わると聞いた時、木梨はどう思ったのか。 「『うわー、そうですか!』と。感謝しかないです。若い時から30年、下手すれば『夕やけニャンニャン』『オールナイトフジ』から。そんなに長い時間と時代をね、『ありがとうございましたー! 次、向かいまーす!』って感じですね。全然寂しくなかったね」 一方、相方の石橋貴明はしばらく燃え尽き症候群になり、「RED Chair」のインタビューでは「とんねるずは死にました」と吐露した。 「(石橋の発言を聞いて)『死んだんだ!』と俺も思いましたよ。あ、死んだんだ」 「俺は死んでいないよ」と思わなかったのだろうか。 「いや、貴明も死んでないでしょ。気取って答えてくださいっていうムードを出したから、そう言ったんじゃないの? 俺も言おうかな。死んじゃいましたんで、生き返ろうと思ってます!(気取った顔で)」
木梨は変幻自在で、インタビューも何が起こるか分からない。冒頭から「今日最高だった出来事、聞いてもらえますか」と語り出した。朝6時半、父・作三の元へハムとアジの開きとシャケを届けに車を走らせていたら、2羽の鳥がフロントガラスのところに来て、木梨と並走したらしい。 「1羽が俺を見て、『最近忙しそうだな。状態よさそうだね、その調子、その調子』。そう言ってたんですよ。『かー! 最高の朝を迎えた』と思って。あ、ぽかんとしてるけど、このまましゃべっててよろしいですか?」 この日、朝3時半に起きて絶好調の木梨は、時に歌い、大声で叫び、しゃべり倒した。 「昨日から『どういうふうに答えよう』とか考えてたら、うれしくなっちゃって。タカさんのこと聞くんでしょ、今の状態聞くんでしょって。どんどん思い出してきて。しゃべり出して止まらなくなると、俺らの仲間、途中からぐったりするのね。『それ、この間聞きました』みたいな顔をして。今日はしゃべっていいですか?」