食べられない子どもたちの現実 “SOS”を見逃さないために大人ができること
大人に必要なのは「寄り添い」と「信頼」
「教育格差の是正」と言う大義に引っ張られすぎると、教育者・講師の中には学習スキルを伝授することや学校の成績を向上させることにのみ固執してしまう者が出てくる。そうすると、子どもたちからの無言のメッセージ、無意識に発するSOSのサインを見逃すことにもつがりかねない。彼らが一度心を閉ざしてしまうと信頼関係の再構築は簡単ではない。 そこで我々運営スタッフは、子どもたちのSOSや背景を「甘え」と軽視することのないように教室を見渡し、塾生の表情や講師らの対応に気を配るよう心掛けている。 子どもらの抱える問題への対応策は多様だ。学習支援だけではなく、食事であったり、先生とのふれあいであったり、静かな学習環境であったり、見守り励ましてくれる大人であったり……。塾の場で解決できない課題も実に多い。 究極の教育は言葉で勉強の“正解”や、“正しいマナー”を教えることよりも、やさしい眼差しを向けながら子どもに寄り添い、彼らを信じ、成長や場合によってはSOSが来るのを待つことなのだ。子どもたちには、やさしい眼差しを持つ大人と過ごす時間を持ってほしいと思う。同時に、子どもたちを見守るとともに、敏感にSOSを感じる、そんな大人が増えていくことを筆者は望んでいる。 食べることができない、というSOSを発信しようとしながら、気付いてもらえていない子どもはあなたの身近なところにもいるかも知れない。 ※ 当塾では苦手なメニュー(アレルギーは除く)に対し、どんなに少量でも一口は食べる、手をつける前に量を減らす、または友達や先生にお願いして食べられる人に食べてもらうように指導をしている。