風呂場にもメモ帳を持ち込んで──サッカー日本代表・森保一監督の“一日”
なるべく自分の目で見ようとするのは、無名だった長崎日大高時代にJSL(日本サッカーリーグ)のマツダでコーチを務めていたハンス・オフトと強化部長の今西和男が視察に訪れてくれ、入団が決まった過去と無関係ではない。それがなければサッカー選手になることも、オフトから日本代表に呼ばれることも、もっと言えば今の日本代表監督になることもなかった。 「あそこで見てもらえていなかったら、たぶんサッカー選手として引っ掛かってない。自分に照らし合わせてではないですけど、ダイヤの原石は転がっているという気持ちは常に忘れていません」
今は過去最高の体重
映像を確認し、スタッフとミーティングを行い、サッカー以外の業務もこなすとなると、削るのはジョギングなど運動に充てていた時間しかない。スリムに見えるが「今は過去最高の体重」になってしまったとか。もともとお酒も飲まない。YouTubeにある5、6分間ほどでシックスパックになるというエクササイズ動画を見つけて、腹筋、腕立て伏せをして何とか体形を維持している。 眠れない日もある。 日々やることが多いせいでもあるが、日本代表の活動中となれば「あれを準備して、これを準備してと思ったら思考回路が止まらなくなる」ためだ。ただ、体への負担が蓄積されていると感じれば無理やりにでも思考をストップして眠るすべを持つ。
J1を3度制したサンフレッチェ広島での指揮官時代からそうしている。 「最初に監督をやり始めたとき、自分のすべてを捧げて24時間態勢で頑張るって思って、そうやってたんです。あんまり寝ないで監督業をやっていると次第に頭が回らなくなって、逆にコーチングスタッフや選手に迷惑をかけることになるなと分かったので」 眠れない日を続けない。平均6時間眠れるように調整することによって、頭がフリーズすることもない。ベッドの横にはメモ帳を置き、気づいたことを書き記す。パッと浮かんできてすぐに消えてしまうこともあるため、風呂場にも持ち込んでいる。日本代表監督として抑揚をつけず、ストレスを寄せつけず継続的に仕事に邁進できるライフスタイルこそが、森保の強みだといえる。