「骨粗鬆症のリスク」を下げる、日本人の誇り”みそ汁”の飲み方を、専門医が解説
肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘や脂肪肝まで、丸ごと改善してくれる、奇跡の料理……。いま、日本人のソウルフード“みそ汁”の健康効果が、大きく注目されています。 【写真】レシピ付き!やせみそ汁はこちら 「毎朝、具だくさんのみそ汁を最低一杯飲むだけで、肝機能は自然と回復し、代謝のよいやせる体が手に入ります」と語るのは、日本肝臓学会認定の肝臓専門医で、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏。本稿では、栗原氏の新刊『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁』(ワニブックス刊)より、日常生活に支障をきたす骨粗鬆症の予防に、じつはみそ汁が効果的だというメカニズムについて、徹底解説します。 【第1回から読む】「1日1杯のみそ汁」で肝臓から脂肪が消えていく…肝臓専門医が明かす、驚愕の科学的事実
「骨粗鬆症のリスク」軽減に効果的な「みそ汁」
私は40年以上、肝臓専門医として、脂肪肝や糖尿病、肥満症など、たくさんの方々の診療にあたってくるなかで、脂肪肝を改善しなければやせることは難しいこと、そして、脂肪肝の改善には、日本人のソウルフードである「みそ汁」が効果的であることを、目の当たりにしてきました。「みそ汁は、1日1杯で脂肪が勝手に消えていく、奇跡の料理です」と言っても、過言ではありません。 食の名脇役・みそは伝統的な調味料です。「畑の肉」ともいわれる大豆を発酵させて作るため、まさに栄養の宝庫。その健康効果は、枚挙にいとまがありませんが、そのなかに、 「カルシウムを補い、骨を強化してくれる」というものがあります。 大豆の加工品であるみそには、骨を丈夫に保つためのカルシウムが豊富。さらに、みそ汁のだしで利用する小魚にもカルシウムが含まれるので、骨の強化につながるのです。ここでは、みその持つ「骨粗相症のリスク」軽減という健康効果について解説していきましょう。
実は「みそ汁」はカルシウムの宝庫だった
牛乳などの乳製品に含まれることで知られるカルシウムですが、実はみそにも豊に含まれます。特に大豆を原料とする豆みそは、100g中150mgのカルシウム含まれており、重量で比較するとその量は牛乳を上回ります。また、みそ汁のだしで使われる煮干しにもカルシウムが含まれる上、みそ汁の具の定番である豆腐やほうれん草などにもカルシウムがたっぷり! このように、煮干しでだしをとった具だくさんのみそ汁は、カルシウムの宝庫といえるでしょう。カルシウムは体重の1~2%に含まれ、体内で最も多く存在するミネラル。みなさんご存じの通り、骨や歯を作る材料となる栄養素です。骨は約3か月のサイクルで、骨形成( 骨こ つ芽が 細胞が新しい骨を作る)と骨吸収( 破は骨細胞が古い骨を壊し、新しい骨の新陳代謝を担う)を繰り返しています。成長期には形成量のほうが吸収量よりも多く、骨量(骨の中のミネラル量)は増加しますが、年齢とともにだんだん逆転し、男性では50歳代、女性では閉経後に吸収量が形成量を上回り、骨量は減少していきます。 特に女性は閉経後急激に骨量が減少することがわかっています。骨量が減少すると、骨はもろくなり、骨粗しょう症の引き金となるので気をつけなければなりません。カルシウム日の摂取基準量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、18~29歳男性で800mg、30~74歳男性で750mg、75歳以上の男性で700mg、18~74歳女性で650mg、75歳以上の女性で600mgとされていますが、多くの人が不足しているのが現状です。 骨粗しょう症が進行すると、骨折のリスクが上がり、着替えや歩行が不自由になるなど、日常生活にも支障をきたすことになります。悪化すれば痛みが生じ、寝たきりになるなど、QOL(生活の質)の低下を招くため、早めの対処が必要です。