日銀・黒田総裁会見4月28日(全文2完)好循環下で2%目標の安定的実現を目指す
むしろよりマーケットを安定させる
指し値オペ自体が何かマーケットを大きく揺らしているっていうことはないと思います。そもそも大きく、欧米の金融政策もありますし、ドル建ての資源価格の大幅な上昇っていうこともありますし、それによって為替市場を含む市場が影響を受けるということは十分考えられるわけですけれども、そうした中でいわば、日本銀行の金融政策としては、10年物金利をゼロ%程度に維持すると、それはプラスマイナス0.25%の範囲内であるということを非常に明らかにしているにもかかわらず、時折、いろんな臆測とともにいろんな事が起こったので、指し値オペもやり、それから、毎回、指し値オペをやるかやらないかとかいうのでまた臆測が起こらないように考え方を極めて明確にして、基本的に必要があれば毎日でもやりますということをはっきりさせたということで。 指し値オペ自体もそうですし、今回の決定もそれが何かマーケットを過度に変動させるということにはならないと、むしろよりマーケットを安定させると。 というのはマーケットが日銀の金融政策に関する臆測を巡って動くのは適切でないということですので、それを抑制するための措置ですので、そういったことはないというふうに考えております。
市場との対話の重要性に対する認識を聞きたい
ニッキン:すいません、ニッキンの【タダ 00:41:55】と申します。中銀とそのマーケットとの対話について伺います。足元、通常の金融政策の観点でしたら国内外でスタンスの違いが際立っているという観点があると思うんですけれども、一方でコロナ危機対応は、日銀も含めて縮小ですとか終了方向に向かっていると思うんですけれども、今後、国内外の金利差ですとか、加えてマネタリーベースの変化も目立つ局面に入っていくと思いまして、マーケットの受け取られ方によっては為替相場ですとか上下に変動しうることも考えられるのかなと思うんですが、特に日銀の金融政策が複雑性を増す中で、市場とのコミュニケーションの必要性ですとか重要性について、日本の金融政策にあまり明るくない海外投資家の目線ですとかを含めて、現状の認識を伺えればと思います。 黒田:いわゆる非伝統的金融政策手段といわれているわけですけれども、日本銀行は実は量的緩和とかそれから長期国債、あるいはリスク資産の買い入れとか、その他、俗に非伝統的といわれる金融政策手段を開発して、必要に応じて行ってきたわけですけども、ご承知のように今や欧米の中央銀行も、特にリーマンショック以降、そういうことを行ってこられましたし、それから、コロナ感染症が拡大した以降は流動性を市場に幅広く供給するというような、いろんな措置を講じてこられましたので、複雑さという意味では日米欧で現状、そんなに変わらないというふうに思います。 そうした中で欧米が、コロナ感染症による景気の後退というものが克服されて、今やコロナ以前の水準にGDPは戻っていると。そうした下にむしろインフレがかなり加速しているという中でさまざまな量的・質的な金融政策手段を調整を始め、さらには政策金利を上昇、引き上げようというふうになってきているということは、欧米の経済・物価情勢に対応して適切なことだというふうに思います。 他方で繰り返して申し上げているとおり、わが国の経済は持ち直している、そのトレンドは変わりませんけれども回復のテンポがやや遅くて、まだコロナ感染症が広がる前の水準を回復していないと。それから物価も、足元でも0.8%。4月以降でも2%程度、さらにはその先になるとまた1%強に戻ってしまうというような状況ですので当然、金融緩和そのものは粘り強く続けていくと。