“いるだけ”で世界がザワつく!? 「世界唯一の空母」でフランスはどこへ行くのか でも日本には来れない?
一部艦艇は沖縄に寄港
在日フランス大使館は2024年11月29日(金)、フランス空母打撃群がインド太平洋地域へ向け仏本土のトゥーロン港から出航したと発表しました。 【もしかすると日本で見られるかも!】フランス空母打撃群の姿を写真で(画像) フランス空母打撃群は、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」を中心とした艦隊で、同艦には、艦載機として「ラファールM」戦闘機、E-2C「ホークアイ」早期警戒機、ヘリコプターなど約40機が搭載されているとのこと。このほかに、防空フリゲートや補給艦、潜水艦なども加わり、約3000名の将兵で構成されているそうです。 フランス空母打撃群による今回の長期展開は「クレマンソー25」と名付けられています。フランス軍事省が発表したスケジュールによると、「シャルル・ド・ゴール」らはこのあと地中海からスエズ運河で紅海へと入り、インド洋を経由してオーストラリア沖を抜け、西太平洋へ向かう計画です。 その間、地中海、インド洋、オーストラリア沖、そして西太平洋の各所で外国海軍と共同演習を行う予定で、オーストラリア沖と西太平洋では海上自衛隊との演習も予定されています。なお、打撃群の構成艦艇の一部が沖縄県にあるアメリカ海軍施設に寄港することが明らかになっています。 なお、フランス海軍の空母が太平洋に展開するのは、1968(昭和43)年の通常動力型空母「クレマンソー」以来、57年ぶりのことです。
世界で唯一の「核兵器搭載原子力空母」
打撃群の中心を務める「シャルル・ド・ゴール」はアメリカ海軍以外では唯一の原子力空母ですが、同艦はアメリカ海軍の原子力空母ですら、現在では持っていない能力を有しています。それが、核兵器の運用能力です。 「シャルル・ド・ゴール」の艦載戦闘機ラファールMは、熱核弾頭を搭載するミサイル「ASMP-A」の運用能力を備えています。ASMP-Aは、2010(平成22)年からラファール戦闘機への搭載が開始された、射程600kmを誇る超音速巡航ミサイルで、敵の防御をすり抜けて目標へ正確に命中する能力を有しています。 以前は1978(昭和53)年から運用が開始された、艦上攻撃機の「シュペルエタンダール」が核ミサイルの運用を担ってきましたが、同機は2016年に全機退役が完了しており、その役割がラファールMに引き継がれた形です。 このように核兵器運用能力を有する「シャルル・ド・ゴール」は、フランスが関心を寄せる地域や、紛争が発生しそうな地域へと派遣されることで、国としての意思やプレゼンス(存在感)を示したり、あるいは紛争の危険度をコントロールしたりと、有用なツールとなります。 それでは、フランスはなぜヨーロッパから遠く離れたインド洋へと「シャルル・ド・ゴール」を派遣し、かつそこで海上自衛隊と共同訓練を実施するのでしょうか。その理由は、「フランスにとってインド太平洋という地域が持つ意義の大きさ」と深く関係しています。