全国でPFASの検出相次ぎ、政府が対応策 「水の安全確保」へ実態把握と対策急務
日本では政府が2020年に設けた水道水や河川での水質管理上の暫定目標値はPFOSとPFOAという代表的2物質合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)と定めた。ただ、この基準値を超えた場合に水道事業者らに基準値以下に下げる法的義務はなく努力目標になっている。
16都府県の100地点以上で目標値超え
環境省は3月29日、2022年度の調査で、PFASのうち、PFOSとPFOAが全国16都府県の河川や地下水など111地点で暫定目標値を超えていたと発表した。水質汚濁防止法に基づく調査と全国の自治体による独自の調査を併せての結果で、さまざまな有機化合物や重金属類などの汚染調査の一環だ。
調査対象は38都道府県の1258地点。「代表的2物質合計で1リットル当たり50ナノグラム」という暫定目標値を超えていた16都府県は山形、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、福井、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、熊本、大分、沖縄。このうち合計の値が最高だった大阪府摂津市の地下水で、1リットル当たり2万1000ナノグラムだった。この値は目標値の約420倍の高濃度になる。 この環境省による公的調査のほか、自治体や市民団体など、さまざまな団体、組織による調査でもPFAS検出の報告が相次いでいる。その一例として規模の大きい水道事業などを対象にした日本水道協会の水道統計によると、2021年度調査の結果、三重県桑名市と岡山県吉備中央町では一時期、国の目標値を上回った。
このほかにも県や市など自治体レベルで目標値超えの調査結果が報告されている。工場や廃棄物処理場、青森県や沖縄県の米軍基地周辺などでの高い値の検出報告が目立っている。こうした個別の検出報告に対して周辺住民が不安や対策を求めるケースが多い。
米EPAは世界一厳しい基準設定し義務化
世界保健機関(WHO)は2022年9月、PFOS、PFOAそれぞれ飲み水1リットル当たり100ナノグラム、全てのPFASで同500ナノグラムとの暫定的な基準値を提案した。