全国でPFASの検出相次ぎ、政府が対応策 「水の安全確保」へ実態把握と対策急務
PFASを巡る規制強化は世界の潮流だ。特に米政府は4月に飲み水に含まれる代表的2物質の上限はそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムという世界一厳しい基準を設定して国際的に注目された。米国では以前は2物質合わせて70ナノグラムが基準値だったので大幅な強化だ。米EPAの発表では、ヒトの疫学データを基に規制値を検討した結果を受けての措置で、全米の水道事業者に基準値を下回るよう義務化した。
米国内6万カ所以上の公共水道は3年以内に汚染状況のモニタリングを義務付けられ、規制値を超えた場合は5年以内に削減措置を講じる。事業者らの検査・処理体制確立のため各州に10億ドルの資金支援をするという。
米EPAは厳しい飲料水基準を発表する際に「PFASにさらされている1億人の米国人を守るために史上初の全米基準を決めた」と強調。「この最終規則(新基準)によってPFASへの曝露を減らし、数千人の早期死亡と成人のがんや肝臓、腎臓への影響を含む数万人の重い疾患の影響を防ぐ」とし、人間での発がんとの因果関係の立証を待たずに踏み込んだ。EPAのリーガン長官は「バイデン政権はPFASへの取り組みを最優先し、全米のコミュ二ティを守るために投資している」などと自賛している。
ドイツは現在PFOS、PFOAの飲み水基準値はそれぞれ1リットル当たり100ナノグラムだが、昨年法令が改正されて飲料水の基準が厳格化した。28年から4種類のPFAS合計で同20ナノグラムになる。このほか、カナダやオーストラリアなどでも規制強化の方針を明らかにしている。
日本も規制強化を議論
こうした海外の規制強化の流れなどを受け、環境省は7月17日に専門家会議の会合を開いて水道水の暫定目標値の見直しに向けた議論を始めた。現在、代表的2物質のPFOSとPFOAは水道事業者に暫定目標値に沿った水質管理の努力義務を課す「水質管理目標設定項目」に位置付けられている。
環境省関係者によると、今後の議論のポイントは現行の暫定目標値を水道法に基づいて法的拘束力がある水質基準に引き上げるか、また代表的2物質合計で設定している基準値を個別に設定するか、水質基準とした場合の検査体制などだという。