〈目撃〉木の上で交尾するクマの初の報告、さらに衝撃的な行動も、南米のメガネグマ
森を守り、クマを守る
ピルコ氏は最近、さらなる幸運を期待して、別のクマを使った動画撮影に挑んだ。この新たな情報はまだ公表されていないが、映像からはクマたちの性質に大きな違いがあることが見て取れるという。 たとえば、新たなクマは、ほぼすべての時間をペルー原産の竹林で過ごしているように見えるのに対し、クリスは山岳地帯の雲霧林を好んでいた。 もちろん、首輪のカメラから見えるのはクマの生活のごく一部でしかない。しかし、そのごく一部に、樹上での交尾のようなものが含まれているという事実は、そうした行動が一般的であることを示唆している。 「これは、樹木がいかに重要であるかを思い出させてくれる、極めて重要な出来事です」とピルコ氏は言う。メガネグマを守るには、彼らの生息地を広く保護する必要がある。生息地の喪失は、密猟や、クマが家畜を食べた後に起こる復讐のための殺害とともに、同種にとっての主な脅威の一つだ。
「すばらしく美しい種」
ピルコ氏の研究は、メガネグマについての知識の空白が埋まりつつあることを示している。 「ここ10~15年の間に、研究は大きく進展しました」と、ベレズ・リエンド氏は言う。そこに大きく貢献しているのは、動物に搭載するカメラなどの技術的な進歩だ。 実際、ベレズ・リエンド氏は、自身がメガネグマの研究を始めた1999年には、野生動物を撮影できるビデオカメラが手に入ったらどんなにいいかと考えていたという。当時のカメラはフィルムを使うもので、巨大なバッテリーのせいで稼働時間も非常に短かった。しかし、ごく短期間のうちに技術は大幅に進歩した。 「カメラがあるおかげで、われわれはこのすばらしく美しい種が、自然の中でどのように暮らしているかを垣間見ることができるのです」
文=Jason Bittel/訳=北村京子