名古屋がルヴァン杯を初V…柿谷曜一朗は古巣セレッソ撃破に何を思ったか?
川崎フロンターレを2-0で撃破し、セレッソの悲願だった初タイトルを手にしたのが4年前のルヴァンカップ決勝。当時キャプテンを務めていた柿谷は、舞台も同じ埼玉スタジアムで臨んだ一戦で抱き続けた個人的な思いを隠さずに明かした。 「意識しないつもりだったけど、相手がセレッソ大阪に決まってからは、頭のどこかでいつも決勝のことを考えながら生活していた部分もあった。複雑な気持ちというか、ぶっちゃけ、やりたくなかった。とりあえず終わってホッとしています」 サッカーの世界では移籍も、そして古巣との対戦も決して珍しくはない。ただ、柿谷の場合は幼稚園児だった4歳のときに加入し、J2(当時)の徳島ヴォルティス、スイスのバーゼルへ移籍していた期間を除いて、トータルで実に四半世紀も所属してきたセレッソを「自分にとって家族のような存在」と公言してはばからなかった。 それでもプロとして出場機会を最優先させ、2年連続でオファーを送ってくれた名古屋への移籍を昨年末に決断した。しかし、必ず対戦カードが巡ってくるリーグ戦ならまだしも、お互いに勝ち進まなければ顔を合わせないカップ戦、それも一発勝負の決勝という大舞台での邂逅に、断ち切ったはずの愛着がいつしか頭をもたげてきた。 セレッソとは27日にも天皇杯の準々決勝で対峙し、0-3で完敗していた。しかも、セレッソが直近のリーグ戦から大幅に先発を変更していた状況もあって、試合後にはマッシモ・フィッカデンティ監督から厳しい言葉を投げかけられた。 「お前たち(の力)はこんなものじゃない」 中2日で迎える再戦へ。ゲームキャプテンを務めるDF中谷進之介は「前半はゼロに抑えて後半勝負に持っていこう、とみんなで話していた」と明かす。実際にプランが具現化された場合に生じる光景も理解していたと中谷は続ける。 「ゲームの流れ的にはすごく難しくなるし、どうしても堅い展開になってしまう。ただ、面白みに欠けたとしても、それが築き上げてきた僕たちのサッカーなので」 中谷が言及した「僕たちのサッカー」とは、J1リーグ記録を塗り替える「19」もの無失点試合をマークした今シーズンの軌跡に他ならない。そして、堅守の一の矢となる前線からのハードワークを、前半から実践し続けたのが柿谷だった。 「どちらに転んでもおかしくなかったし、もちろん攻め込まれる時間も多かったなかで、自分もそうですけど、前線の選手を含めてハードワークすることを絶対に怠らなかった。その分だけ前への推進力という部分で、僕自身、ミスが多かったし、まだまだ体力のところで90分間を通していいパフォーマンスを出せないなと思っていたんですけど」