湘南、仙台浮上でさらに混沌化してきたJリーグ残留争いの行方
38試合を戦う長丁場のシーズンがいよいよ最終コーナーを回ったJ1戦線で、残留争いがさらに混迷を極めてきた。23日に行われた明治安田生命J1リーグ第33節で、キックオフ前の時点でともに降格圏の17位・湘南ベルマーレと19位・横浜FCが激突。連勝中の横浜FCが後半18分に先制するも、ホームの湘南が同33分、終了間際の同44分に連続ゴール。7試合ぶりの勝利を今シーズン初の逆転劇でもぎ取り、残留圏の16位へ浮上した。 前節に最下位へ転落したベガルタ仙台は手倉森誠監督の檄で奮起し、サンフレッチェ広島を2-0で撃破して19位へ浮上。勝ち点31の湘南から再び最下位に転落した横浜FCまで、6ポイント差に5チームがひしめき合う大混戦に、24日に首位・川崎フロンターレ戦に臨む勝ち点32の15位・清水エスパルスの結果次第でさらに拍車がかかる。
湘南ベルマーレが横浜FCに逆転勝利
歓喜の涙に安堵や感謝の涙が、そして天国へ旅立った祖母へ捧げる涙が加わる。選手たちが抱くさまざまな思いを介して、湘南がふたつの呪縛から解き放たれた。 ひとつは6試合連続で「1」以下にとどまっていた得点数。もうひとつは山口智新監督のもとで2分け3敗と白星を手にできなかった軌跡。2ゴールをもぎ取る今シーズン初の逆転勝利の先に待っていたのは、J2降格圏からの脱出だった。 7試合ぶりの勝利を導く待望の2得点目は、土壇場の後半44分に生まれた。 右コーナーキックをFW町野修斗がファーサイドへ回り込み、体勢を崩しながらヘディングで叩きつける。ワンバウンドしてゴールに迫ってくるボールに横浜FCのゴールキーパー、スベンド・ブローダーセンが反応しかけた直後だった。 東京五輪に出場したU-24ドイツ代表に名を連ねた新守護神の眼前に、後半30分から途中出場していたMF山田直輝が突如として現れる。必死に繰り出したバックヘッドでコースを変えられたボールは、ゴールの右隅へゆっくりと吸い込まれていった。 「こぼれてくると信じてゴール前で待っていた。みんなの気持ちがゴールにつながった」 劇的な勝利の余韻が残るヒーローインタビュー。何かを報告するかのように、試合終了の瞬間に湘南の空を見上げていた山田が目に涙を浮かべ始めた。