送り先拡大と多車種維持「社員と会話して軌道修正図る」日野自動車会見8月2日(全文7完)
多くの社員が仕向け地拡大、多車種維持は非現実と考えているが
朝日新聞:よろしくお願いします。特別調査委員会の調査報告書の真因分析のところについて2点お伺いしたいと思います。まず1点目ですけれども、真因の分析のところで、非常に多くの従業員の方がグローバルな仕向け地の拡大ですとか、多くの車種、バリエーションを維持するっていうことは今の日野にとって現実的ではないと受け止めていると、こういうくだりがあります。これが今回の問題につながったという認識を持っていることがうかがわれるというとこまで言及されています。これ、かなり重い指摘だと思うんですけれども、こういう従業員の方々の受け止めについて、トップとしてどういうふうに考えておられますでしょうか。 小木曽:今回の特別調査委員会の報告の中には、私たちの社員の声がしっかり入っているというふうに理解しています。これは、われわれ経営陣が重く受け止めて彼らの声に向き合って、経営に生かしていく、もしくは経営のかなりの部分を変えていかなければいけないというふうに考えております。 もちろんメーカーですので、企業ですので、成長は必要かもしれません。それから日野のトラック、バスを欲しいと言われれば、世界中のお客さまにお届けしたいというふうに企業としても思いますけれども、何よりも大事なのは、1人1人のお客さま、1つ1つの国に信頼をしていただける、丁寧にお役に立つということが、数を増やすことよりもさらに大切なんだということだと思います。きっとこういうことを社員の人に伝えれば、当たり前だと、なんでそうしてくれなかったんだって言うと思います。ですので、われわれは企業としての成長をもちろん目指しますけれども、まずは1つ1つのお客さまに丁寧に向き合える、品質の良い、法令を順守したものに注力していきます。
良い状態をつくれば健全に成長するのは可能
そのために、ある程度現場の声を聞いて、拡大とかバリエーションについては少し我慢をする。場合によって、今の日野からいくと、大きく我慢をする。その分できた時間で仕事の改善をして、人を育てて、より能力の高いメンバーがより工夫した仕事で、密度の高い仕事を仲間ともちゃんと連携をしてするようになれば、良い方向へ回っていくんではないかと思っております。 ですので、グローバルの拡大とか、バリエーションっていうこと、先にやり過ぎて、負のスパイラルに入ってしまったというふうに理解していますので、ここは少し踊り場をつくりながら、今申し上げたような考え方、優先順位で、社員の人たちとも会話をして、軌道修正を図っていきたいと思います。いったん良い状態をつくれば健全に成長していくということは可能だと思っておりますので、まずはそういう会話にできる状態、スタート台に立つところまでを目下のところは目指していきたいというふうに考えております。 朝日新聞:ありがとうございます。そういう問題意識に対して会社として、なんらかの回答を示す必要があるように思われるというふうにも指摘を受けてますけども、今おっしゃったようなことをちゃんと経営計画みたいな形であらためて示すというお考えはおありでしょうか。 小木曽:あります。実は先ほど少しお話がありましたとおり、私どもは昨年からいろいろ調査を継続して、問題が少なくとも3月で発生してる事案までは認識しておりましたので、本年度の計画にはやはり身の丈に合った、1つ1つのお客さまに向き合うためにはどのような計画にするんだという軌道修正を始めております。ただ、まだまだ足りないと思いますので、3カ月と申し上げた日程の中でより具体的な内容、体制含めて、もっと進めていきたいと思っております。社員とも会話をしながら、具体的な対応をみんなで考えて、実行していこうと考えております。 朝日新聞:ありがとうございます。真因についてもう1点お願いします。上司に逆らえないっていう雰囲気が醸成されやすく、結果パワハラが生まれやすくなっていると、心理的安全性が確保されにくい組織となっているという指摘を受けています。この今回の指摘を受ける前から社長として、こういう組織体質が日野にはあるというようなご認識はあったでしょうか。