9年で668社の神社が減少 危機の「祭り」に女性や地域外の人たちの参加、マッチングサービスも #絶滅危惧文化
祭りが過疎地と市街地をつなぐ
冒頭で紹介した遠山郷の霜月祭も、上町に住んでいない会員を含む霜月祭保存会(上町地区)が祭りの準備から舞まで中心的な役割を果たし、竈に薪をくべたり、湯釜に水を足したりする作業も、上町地区外の社会人や大学生が手伝っている。 上村公民館主事の井川真輝さんによると、霜月祭では大人だけでなく、地区外の子どもたちも大きな役割を果たしているという。 「祭りには、子どもの舞のパートがありますが、その参加者の半数以上は飯田市の市街地の子どもたちです」
11月から練習を始めたが、当初、市街地から通う子どもたちは下校後から帰路に就くまでの短い時間しか練習できず、舞の完成度が低かった。運営側は子どもたちの演目を取りやめることも検討した。ところが、子どもたちが空き時間に自主的に練習した結果、急激に上達し、上演にこぎ着けたのだという。 保存会のメンバーで、同地区で暮らす山口雄大さんは「次につながる成果だった」と振り返る。 「市街地から上村小学校に通う子どもたちが親御さんと一緒に祭りに来てくれたのですが、夜通し続く大人たちの舞を最後まで見て『すごかった』と言ってくれた。お祭りを知ってもらうきっかけになってよかったと思います」 祭りが市街地と遠山郷をつなぐハブのような役割を果たしているのだ。
祭りのマッチングサービスも
祭りや行事を通じて地域と外部の人をつなげる行政による取り組みもある。福岡県が2023年8月に創設した「地域伝統行事お助け隊」制度だ。 「お助け隊」の派遣を希望する行事の実施団体は、地元市町村の企画担当課や文化財担当課を通じ、山車の引き手や会場設営など、どんな担い手に何人参加してもらいたいかを福岡県に申請する。一方、伝統行事に参加したい人は「お助け隊」のホームページで「お助け隊」に登録し、ホームページに掲載された情報や県から通知されるメールをもとに参加を希望する行事を選んで申し込む。お互いが了解すれば派遣が実現する。福岡県が仲介する祭りのマッチングサービスと言える。