【まとめ】絶対感動!ヒューマンドラマ映画37本!
政府とマスコミの息詰まる攻防戦!『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』
いきなり戦争シーンで始まる本作。『プライベート・ライアン』ほどではないが、スピルバーグらしい臨場感あふれる戦闘アクションに息をのむ。ベトナム戦争を経験した1人の人物が、アメリカ政府が大義のために戦争を止めなかった真実をマスコミにリークすることになるのだが、極秘文書を持ち去り、大量のコピーをとるシークエンスから異様なスリルと緊迫感が充満していく。その後は『ワシントン・ポスト』紙の編集部の“現場”の苦闘が、こちらもテンポよく進み、観る者の集中力を切らせない。 単なるスクープを追うジャーナリスト魂だけでなく、スクープを止めようとするアメリカ政府と、『ワシントン・ポスト』の会社としての未来を天秤にかけるキャサリンの試練を描くことで、より幅広い層の観客に感情移入させるのだ。キャサリン役でアカデミー賞候補になったメリル・ストリープが、重要な決断を示すシーンで“神レベル”の名演技を披露することもあって、後半の没入度はマックスに達することだろう。 編集部員それぞれの葛藤はもちろん、終盤の短いシーンに登場する人物の一言や、締切ギリギリまで待つ印刷工場の人たちの表情など、小さな勇気が集まって大きなパワーを生み出す、そんな瞬間が何度も訪れるのだ。1971年当時の新聞の印刷風景など、細部の表現にも手を抜かない、巨匠らしい渾身作になっている。
ベタな感動が苦手な人も涙に誘われる!『ワンダー 君は太陽』
映画で感動するポイントは人それぞれ。物語や登場人物にいかに共感するかが重要だが、ストレートでわかりやすく涙腺を刺激するパターンが好きな人もいれば、ベタな表現には引いてしまうけど、静かに胸にしみわたる繊細さは好きという人もいる。しかしごく稀に、あらゆる人を納得させる感動映画が誕生する。この『ワンダー 君は太陽』は、そんな1作だ。 主人公は、トリーチャー・コリンズ症候群という遺伝子疾患によって、人とは違う顔で生まれてきたオギー。10歳にしてすでに27回もの手術を経験した彼が、一般の小学校にはじめて登校するところから、この物語ははじまる。外見のせいで奇異な視線を浴び、いじめを受けながらも、友人を作り、学校生活に必死に慣れようとするオギー。この設定だけで、ストレートな感動は保証される。 しかしこの作品は、さらに一段上の予期せぬ感動を用意している。最初はオギーと仲良くするが、その裏にさまざまな葛藤を抱えたクラスメイト。オギーを育てるために自分の夢を犠牲にした母。両親がオギーのことばかり考えるので、つねに放っておかれる姉。そしてその姉の親友も複雑な状況に悩み……と、周囲の人物に視点を切り替えることで、彼らの心情が切なく胸に迫る作りが素晴らしい。しかも各人物のドラマが、パッチワークのように見事に絡んで行くものだから、難病モノというジャンルを軽々と超え、ベタな感動が苦手な人も、あちこちで不覚な涙に誘われるのだ。