【まとめ】絶対感動!ヒューマンドラマ映画37本!
イギリス王室のドロドロした確執劇が面白い!『女王陛下のお気に入り』
日本の時代劇に当てはめれば“大奥”の世界。欲望と嫉妬が渦巻く、ドロドロのドラマが描かれる。女王が女性との“関係”を楽しんでいることがわかり、危険なほどエロチックな空気も充満していく。さらにサラとアビゲイルによる、女王の取り合いが展開するのだが、しだいに3人の駆け引きは予想できない心理ゲームに。スキャンダラスでありつつ、プライドを闘わせる濃密な人間ドラマは、とにかく見応え十分。 “宮廷モノ”といえば、ゴージャスなセットや衣装をイメージするだろう。しかし今作の場合、モノトーンや沈んだカラーを基調にした色づかいが多く、ロウソクの光を効果的に使ったダークな室内など、リアルな演出が目立つ。17匹ものペットのウサギたちなど、宮廷生活での生々しくも異様な日常にフォーカスしているのも斬新な視点。おぞましさや悪趣味もこめられ、あらゆる要素が一筋縄ではいかない作品となっている。
ダメ老人の愛嬌になぜだか応援したくなる!『運び屋』
ベースになっているのは、2014年に全米を驚愕させた実話。メキシコの犯罪組織に雇われ、コカインをせっせと密輸したおじいさんの物語だ。家庭をないがしろにしたせいで妻や娘に去られ、そのうえ大好きな仕事も失った老人。そんな彼がなんとなく請け負った麻薬の運び屋、これがなんだかんだで意外とうまくいってしまう。 90歳も近い彼の性格は、一言でいうとむちゃくちゃマイペース。そもそもこの人、反省はするけど「まぁ、いっか」的な態度が家庭をダメにしたわけで。運び屋中も自由で、麻薬を積んでいるくせに美味しいダイナーに寄り道したり、困っている人を助けたり。のほほんとした姿勢が、逆に功を奏していく。 たぶん彼をイーストウッド以外が演じたらイラッとすることもありそうだが、そうはならないのが愛され俳優たる“イーストウッド力”。憎めないし、なんなら応援したくなる。とはいえ、「俺ってチャーミングだろ?」的な嫌味はなく、犯罪に手を染めちまった感も一応漂わせているのがいい。このあたりのどうしようもなさを、冷静に描いているのは監督としての“イーストウッド力”。無償でリスペクトされている理由を、ぜひ本編で。