【まとめ】絶対感動!ヒューマンドラマ映画37本!
誰が犠牲になるかわからない状況に震える!『ホテル・ムンバイ』
ムンバイの各所で起こる銃撃や爆発シーンで、オープニングから一気にたたみかけてくる本作。この緊迫感は、最後の最後まで途切れることはない。その後に描かれる高級ホテルでの攻防、ロビーでの銃乱射、レストランからの脱出、鍵をかけた客室にも迫る危機は、リアルな表現で、その惨劇に目を覆いたくなるほど。いつ、誰が、次の犠牲者になるかわからない不安と戦慄は、この手のテロ事件映画の中でも最高レベルだろう。9.11同時多発テロで、ハイジャックされた機内を再現した傑作『ユナイテッド93』を彷彿とさせる作品だ。 生まれたばかりの我が子を救おうとするアメリカ人夫婦など感動ポイントも多いが、最も胸を揺さぶるのは、従業員たちの自己犠牲精神。ホテルから脱出できたにも関わらず、宿泊客を守るためにホテルに残るという彼らの選択は、まさに“名もなきヒーロー”の姿そのもの。一方、本作では少年のようなテロ実行犯たちの素顔にもフォーカス。電話越しに指示を出す首謀者によって彼らが“操られていた”という沈痛さもあぶり出している。かなりヘビーな体感映画かもしれないけれど、生き残るために立ち向かった人々の勇気には胸を打たれるはず!
ボロボロになっても立ち上がる姿に男を感じる!『レスラー』
主人公の姿にミッキー・ロークの人生を重ね合わせずにはいられない作品で、かっこ悪さをさらけ出した姿が胸を打つ人間ドラマ。主人公ランディは、かつてメジャー団体で活躍したが、今はステロイド剤の射ちすぎでボロボロになった中年プロレスラー。若手レスラーやプロレスファンからリスペクトされる一方、普段はスーパーマーケットで働かざるをえないほど落ち目になっている。 心臓の手術を受け引退を決意するが、どうしてもリング上で感じた高揚感を忘れることができない。そのうえ、不器用な生き方しかできないため、大好きな娘の約束をすっぽかしては嫌われ、勤務中のスーパーマーケットではファンに見つかり、恥ずかしさから店をグシャグシャにしてしまう。そんなつもりじゃないのに、同じ過ちを繰り返してしまう。誰しも、こんなときがあるだけに、ランディの気持ちが痛いほど伝わってくるはずだ。 ラスト、ランディはボロボロのカラダながら命懸けでリングに上がる。そこには天職に巡り合ってしまった男の喜びと哀しみが見てとれる。‘80年代にフェロモン系男優として一世を風靡したミッキーだが、その後は低迷。破産、離婚、整形手術の失敗……と辛酸を舐めわけだが、本作でベネチア映画祭金獅子賞を受賞しカムバックする。まさにミッキー自身のセミドキュメンタリーを観ているかのようでもある。