日銀・黒田総裁会見6月18日(全文2)経済状況が違う中で金融政策が異なるのは当然
必要な資金繰り支援の半年間延長
また、それぞれの地域、それぞれの金融機関によって貸出先と長期的なライアビリティについて議論をし、資本性の資金に変えていくとか、そういった動きもすでに起こっておりますので、そういう意味ではご指摘の点は、定性的にそういうことがあるし、そういう必要もあって、すでに資本性の資金を調達する動きも出てきてはいますけども、ただ、そのことが、この今の支援を打ち切るべきだということにもならないんであって、やはりこれは必要な資金繰り支援の半年間の延長であるというふうに考えております。 それからFRBとか欧米の中央銀行と日銀との金融政策っていうのが、コロナ禍の中では資金繰り支援っていう形で非常に大規模な緩和をして、その限りではよく似ていたわけですけれども、ご案内のとおり、日本の場合はコロナ感染症が広がる前においても、物価の上昇率が2%にはまだ達してない状況だったわけですね。 ですから当然、コロナ感染症が収束したあとも、2%の物価安定目標の実現を目指して金融緩和は当分続ける必要があるというふうに思っております。そこが1つ違うっていうのと、もう1つはもう典型的に米国ですけども、ワクチン接種が進んで、対面型サービス消費が急速に回復して、経済成長率も戻ってきて、戻るっていうだけでなくて、実はコロナ感染症前のGDPはもう超えてしまって、そして、そのトレンドに近づいてきているわけですね。
大規模な金融緩和の継続が必要なのは変わらない
ですから、そういうところは当然、コロナ感染症に対応したような資金繰り支援、その他、そういうものも順次縮小していくでしょうし、経済がそういう状況になっていく中で、そうするとコロナ前のように物価の上昇率も2%に近くなってくれば、彼らの金融政策も調整されていくと思います。それはその2023年なのかどうかということでしょうけども。 ただ、それが日本の金融政策と違って何かおかしいことがあるかっていうと、おかしくはないと思うんですね。それぞれの国の経済・金融・物価情勢に合わせた形で行われることによって、まさに米国の経済が順調に回復し、しかもインフレなき持続的成長を遂げてくれるっていうことは、世界経済にとっても日本にとっても大変好ましいことなんですね。 他方で日本銀行としては、やはり2%の物価安定の目標の実現っていうことを目指して、大規模な金融緩和っていうものを当分続けていく必要があるということも変わらないし、それが世界にとってマイナスになるとも思いませんので、経済状況が違う中で金融政策が違ってくるのは当然だと思いますし、それは好ましいことであって、何か問題があるとは思えません。 ただ、1点だけよく言われる点ですけども、先進国が仮に急速に金利を引き上げたりとかすると、途上国、新興国から資金が流出して、それが金融経済上の困難を新興国に及ぼすんじゃないかということはよく議論になります。今、そういうことが起こっていると思いませんけどもですね。その点については当然、先進国の中央銀行としては十分配慮して、特にコミュニケーションには十分配慮して運営していくという必要があるということはそのとおりだと思いますね。