日銀・黒田総裁会見6月18日(全文3完)金融緩和は政策として適切だった
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の18日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に記者会見(2021年6月18日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に記者会見(2021年6月18日) ◇ ◇
政府の対応を踏まえてこのタイミングなのか
時事通信:時事通信の【イトウ 00:49:35】と申します。気候変動の対策のところであらためてなんですけども、なぜ今このタイミングでというところなんですけれども、一連のG7の会合であるとか、それを受けました政府の対応であるとかいうことを踏まえて、このタイミングでということなのか、その部分についてあらためましてお伺いしたいんですが。 黒田:もちろんG7の議論とか、政府の対応とか、そういうことも存じていますけども、むしろそういうことよりも一番頭にあったのは、やはりこのBISその他を通じて、先進国の中央銀行とずっと意見交換、情報交換をしていまして、それぞれいろいろな制約条件はあるわけですけれども、やはり中央銀行としてなんらかの対応をすべきでないかというのが広がっているわけですね。 その中で日本銀行として、日本銀行の役割、そしてそのための手段というものを考えたときに、どういうことが考えられるかということをかなり長く議論してきまして、このタイミングになったということで、これはG7のコミュニケとか、あるいは日本政府のうんぬんということとはあまり、タイミングとしては関係なく、基本的に諸外国の中央銀行と意見交換をしつつ、日銀として何ができるか、何をすべきかということを議論して、そして本日の政策委員会で、政策委員の方からもいろいろな意見が出て、それを踏まえてこういった決定がされたというふうにご理解いただきたいと思います。
政井委員の棄権についての見解は
ブルームバーグ:ブルームバーグニュースの藤岡です。2点お伺いしたいと思います。水曜日のFOMCを経て、今後アメリカの中央銀行、FEDのほうではテーパリングというのがその焦点になってくるかと思うんですが、日銀の点検の中でも市場を通しての政策効果の大きさを測られています。今後、コミュニケーションを、パウエル議長は再三会見の中でしっかりやっていくということをおっしゃっていますけど、もしマーケットが混乱したり、円高になるような場合には、やはり以前にも増して総裁としては対応していくということになるのでしょうか。それがまず1点目です。 2点目が、政井委員の今日の棄権についてなんですけれども、委員ご自身で判断されたということで、総裁、議長の総裁からちょっとコメントは難しいかもしれないんですが、何かご見解があればそれについてお願いいたします。 黒田:テーパリングの定義ですけれども、FEDはすでにコロナ対応としてさまざまな特別な措置を取ってきたわけで、それを順次、終了させていますし、量的な緩和につきましてもテーパリングというか、資産買い入れについて順次、減少させていくというような議論になる可能性はあるとは思うんですね。ただ、これは議論をすると言っておられるだけですから、どういうふうになるのか分かりませんが、米国の経済の急速な回復と、一時的とはいえ、かなり消費者物価も上昇しているということの中で、テーパリングというようなことが米国でも始まっていく可能性はあると思っています。 その場合に、普通に考えると円高というよりむしろドル高の可能性のほうが普通はいわれるわけですので、景気が非常に良くて、しかもテーパリングを米国がしていく、日本はまだそこまで景気回復していませんし、2%にはまだ遠いわけですので、金融緩和をずっと続けるわけですから、そういう中では円高というよりむしろドル高の可能性があるというふうに普通はマーケットの人は言うと思うんですけどね。