日銀・黒田総裁会見6月18日(全文2)経済状況が違う中で金融政策が異なるのは当然
先週の終わりにワクチン接種は完了
ですから全体として経済見通しが改善し、ワクチンの接種が進んで対面型サービスが戻ってくるという中で、今言ったような物価についての見通しも変わってきていると思いますけども、今、足元の、かなり高い物価上昇率が欧米で起こっていますけど、それは一時的なものが大きいのではないかと。おそらく中期的には2%の物価目標のところに収斂していくのではないかというふうに思っております。 コロナワクチンのことについては個人的な話ですのでここだけにしてほしいんですけども、私、世田谷区に住んでいまして、世田谷区は後期高齢者からどんどんワクチン接種をしていまして、私も通常で申し込んで、実は先週の終わりに2回目もやりまして、一応ワクチン接種は完了しております。たぶん東京都の中でも各区によって違って、世田谷区よりもっと早く進んでいるところも結構あるようですけども、逆に遅れているところもあるようで、それぞれの地域のワクチンを打つ打ち手の確保とか、そういうこととも関係するのかもしれません。ただ、これは全然個人的な話ですので。はい、どうぞ。
日本と諸外国との差異やその原因をどう考えているのか
共同通信:共同通信の【森永 00:32:18】と申します。よろしくお願いします。今回、コロナ支援で特別プログラムを延長されましたけれども、企業の資金繰りを支援するっていう狙いについては必要な措置というような見方が大勢だと思うんですけれども、一方で中小企業を中心にすでに過剰債務に陥っているところもあるという課題があって、政府も企業の借り入れ負担を軽減するために私的整理の上限緩和のようなシーンづくりにも乗り出していると思うんですけども、過剰債務の関係とか、その辺りについて総裁のお考えを伺いたいのが1つと。 もう1点はFRBがきのうというかおとといですかね、ゼロ金利の解除時期を23年に前倒しする方針を示唆したと思うんですけども、最近、海外の中銀の間では緩和の縮小に向けた動きが出ていて、もともと日米欧の中銀っていうのは協調してこれまで金融緩和を進めてきたんだけども、今後、各国の状況に応じて、だいぶ対応に違いが出ているような気がしているんですけれども、総裁はその辺り、日本と諸外国との差異とか、その辺りの原因について、どうお考えか教えてください。 黒田:まずは特別プログラムの延長につきましては先ほど申し上げたとおりであります。なお、日本のみならず欧米でもコロナ感染症の影響がすでに1年半ぐらい続いているわけですね。そうした中で、彼らの中央銀行もさまざまな形で資金繰り支援をしてきたわけですけれども、こうなってきたあと、特にポストコロナを見据えると、産業構造とかいろいろなものの違いも出てくるでしょうし、リクイディティの問題からソルベンシーの問題に徐々に移っていくのではないかという議論があります。 これは定性的にはそういうことはよく分かるんですけども、他方でわが国の場合を考えてみますと、やはり依然として対面型サービスを中心に相当な売り上げの減とか、そういうことによる資金繰りの厳しさっていうのがまだ残っていますから。当然それを支援していくとともに、実は金融機関もそういったことを十分理解して、昨年度、2020年度はご案内のとおり金融機関は貸し出しが非常に増えて、資金収益も増えて、その中で実はやはり貸倒引当金などをかなりフォワードルッキングに積んだり、さまざまなことをすでにしております。