日銀・黒田総裁会見6月18日(全文1)コロナ資金繰り支援の期限を半年延長
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の18日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に記者会見(2021年6月18日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に記者会見(2021年6月18日) ◇ ◇
新たな資金供給の仕組みを導入
日本経済新聞:今月幹事社の日経新聞の斉藤と申します。本日は総裁、よろしくお願いいたします。まず本日の決定内容についてご説明をお願いいたします。 黒田:はい。日本銀行は本日の決定会合におきまして、金融市場調節方針や資産買い入れ方針のほか、以下の2つのことを決定しました。第1に「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」について、期限を2022年3月末まで、半年間延長いたしました。企業等の資金繰りは一頃より改善しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響からストレスのかかる状況が続くとみられます。こうした情勢を踏まえ、引き続き企業等の資金繰りを支援していくことといたしました。 第2に気候変動関連分野での民間金融機関の多様な取り組みを支援するため、金融機関が自らの判断に基づき取り組む気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給の仕組みを導入することとしました。この新たな仕組みは成長基盤強化支援資金供給制度の後継と位置付けております。なお、その骨子、素案を7月の金融政策決定会合で公表する予定です。また、本日の決定会合では長短金利操作の下での金融市場調節方針、ETFおよびJ-REITの買い入れ方針について、これまでの方針を維持することを決定しました。
我が国経済、基調としては持ち直している
次に経済・物価情勢、経済・物価動向についてご説明いたします。わが国の景気の現状については、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から、引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直していると判断しました。やや詳しく申し上げますと、海外経済は国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じて見れば回復しています。そうした下で、輸出や鉱工業生産は着実な増加を続けています。 また、企業収益や業況感は全体として改善しています。また、設備投資は一部業種に弱さが見られるものの、持ち直しています。雇用・所得環境を見ますと、感染症の影響から弱い動きが続いています。個人消費は飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力が強く、足踏み状態となっています。住宅投資は下げ止まっています。金融環境については、企業の資金繰りに厳しさが見られるものの、全体として緩和した状態にあります。 先行きのわが国経済を展望すると、当面の経済活動の水準は対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいく下で、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて回復していくとみられます。その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まる下で、わが国経済はさらに成長を続けると予想されます。 物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、感染症や携帯電話通信料の引き下げの影響が見られる一方、エネルギー価格が上昇しており、足元では0%程度となっています。また、予想物価上昇率は横ばい圏内で推移しています。目先、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は0%程度で推移すると予想されます。その後、経済の改善が続くことや、エネルギー価格の上昇、携帯電話通信料の引き下げの影響剥落などから、徐々に上昇率を高めていくと考えられます。