「地獄だ」騒ぐ子どもに高笑いする親…“道路族”がうるさい!「子どもは社会で育てるもの」許せない私は非社会的!?【作者に聞く】
「道路族」という言葉を耳にしたことがあるのではないだろうか?道路族とは、住宅街の公道や私道などで騒がしく遊ぶ子どもと、そんな子どもたちを放置する親のことである。もともとは2016年ごろに道路族の被害者だった男性が「道路族マップ」というサイトを開設し、ネット上で知られていくようになる。そして2020年からのコロナ禍に突入し、外出自粛やテレワークなどが推奨されるようになると、道路族による被害は社会問題として取り上げられるようになり、多くの人がこのワードを認知するところとなる。 【漫画】本編を読む/主人公に賛否両論がそろった!あなたは擁護派・否定派どっち? 今回紹介するショートホラー漫画は、そんな道路族の被害に悩むひとりの女性の心に芽生えた殺意がテーマである。 「ここは地獄だ」と主人公の女性は両耳を塞ぎ、床に突っ伏す。毎日同じ時間になると「ピヤアアアアアアア」「キャアアアア」「アハハハハ」と、とにかく大きなわめき声や笑い声が家のすぐ外で響き出す。自宅で仕事をしている女性だったが、外の騒音で電話相手の声も聞き取れないほど。これが毎日続くため仕事にならず、ストレスが蓄積していき、いつしか目からは大粒の涙がこぼれ落ちていく。 「子どもは社会みんなで育てるもの」という意識が高まってきている現代。主人公の女性はだんだん思い詰めていき、自分を否定しだす。「テレビでも言ってるじゃん。子どもの声が騒音だっていう人の方が迷惑だって」と言い、道路族の騒音をうるさいと感じる自分を責めはじめるのだった。本作「ありふれた殺意」を描いた漫画家の三ノ輪ブン子(@minowabunko)さんに、本作について話を聞いてみた。 ――本作を描いたきっかけや思いについて教えてください。 騒音問題においてどちらが悪いとか正しいとかいうことはいったん横に置いて、「音」がどれだけ人に影響を与えてしまうのか…、「音の怖さ」というものを一番描きたかった作品です。近隣トラブルの中でも殺人事件に発展するのは「騒音」が多いです。やはり「音」にしかないなんらかの「特性」があるんじゃないでしょうか。その「特性」に、人が「音」を受け入れようと努力しても意思とは関係なく拒絶反応してしまうほどの、強い力があるとしたら…? 「音」がまるで目に見えない「怪物」のように感じて、「うるさい」と同時に「怖い」という感情も強く存在しているんじゃないかなと思います。 ――ホラー漫画を手がける三ノ輪さんならではの観点にハッとさせられました!三ノ輪さんはこれまでも数々のホラー作品を手がけていますが、最近はどんな漫画を描かれていますか? 都市伝説系ホラー「ただのうわさです(原案:飯倉義之)」を連載中です!一話完結タイプで、今回のような人の狂気や怖さをテーマにしたものもあれば、超常現象、オカルトなどさまざまなテーマの恐怖も扱っています。「口裂け女」など昔からあるレジェンド級の都市伝説も令和の今だからこその視点で描いていますので、新しい発見があるかもしれません。気になった方はぜひ読んでみてください! 本作を読んだ読者からは「この主人公の気持ちは、道路族の被害者にしか理解できないよ」「主人公の気持ちわかる。騒音はつらいよ」という共感の声もあれば、「主人公の女性は間違いなく“病気”です」「騒いでいた子どもが悪いとかのコメントがあるの怖…こういうコメントする人たちが加害者になるのか、怖すぎ」というコメントもあり、賛否両論がそろった。この話を読んであなたはどちらに共感するのだろうか?「最後の車の運転手も、もしかして?と思ってしまった…」というコメントもあり、最後のシーンまで考えながら読み進めてほしい。 取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)