「東京ラブストーリー」が生まれた頃 時代反映するテレビドラマ
織田裕二と鈴木保奈美、江口洋介、有森也実が出演し1991年に大きな反響を呼んだドラマ「東京ラブストーリー」(フジテレビ系)の29年ぶりのリメイクで伊藤健太郎、石橋静河、清原翔、石井杏奈が出演する2020年版「東京ラブストーリー」(同)が10月に地上波放送されることが決まりネット上で話題となっている。すでに昨年春からネット配信中でファンの間では令和版とも現代版とも呼ばれる同作だが、もととなった91年版はまだ地上波テレビがエンターテインメントの中心にあった時代に毎週高視聴をはじき出しトレンディドラマ、月9ドラマの代表格と言って過言ではないヒット作だ。当時の時代背景とともに振り返ってみたい。
91年版は大ヒットしたトレンディドラマ
「東京ラブストーリー」は1991年1月7日~3月18日にかけて全11話が放送された。柴門ふみ氏による全4巻の人気コミックが原作で1988年から「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載されたもの。タイトル通り東京を舞台にサラリーマンの永尾完治(カンチ)と同僚の赤名リカのもどかしい恋愛模様を中心に若者たちの姿を描いた。ドラマ版はカンチを織田裕二、リカを鈴木保奈美が演じ、さらにカンチの高校の同級生・関口さとみ役を有森也実、小学校から高校までカンチと同級生だった三上健一役を江口洋介が演じた。当時は「私はさとみ派」「やっぱりリカがいい」など多くの視聴者がそれぞれ個性が際立つ登場人物に感情移入し高視聴率を記録する大ヒット作となった。 当時の日本はバブル景気。土地や株が天井知らずに上がり続け、実体経済を超える異常ともいえる数値を示していた。「東京ラブストーリー」の放送前年にあたる90年の新語・流行語大賞の銀賞には「バブル経済」が入っていた(この語を誰が最初に使い流行らせたのか不明なため受賞者については該当者なし)。そしてドラマの放送はちょうどその終焉期にかぶる。 「バブル景気がいつからいつまでなのかについては何を基準に考えるかによって微妙に異なり諸説ありますが、少なくとも原作コミックが連載開始された88年にはもう始まっていたとされています。ただし多くの人々が好景気を実感し始めたのがブラックマンデー(1987年10月19日に香港を発端として起きた世界的な株価大暴落)を過ぎた頃、原作コミック連載のあたりだったと言われています。そして91年1月から3月にかけてドラマ版の『東京ラブストーリー』が放送されていた間に好景気は終わってしまうのですが、放送後もまだしばらくはいわゆる“バブリーな”雰囲気が世の中には残っていたかと思います」(週刊誌50代男性編集者)