救命救急医から“最凶”組長まで 鈴木亮平のストロングポイント
かねてより演技力で高い評価を受けてきた俳優・鈴木亮平が、このところ映画にドラマに話題を呼んでいる。29日に第9話を迎えた主演の連続ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系、日曜午後9時)ではチームを率いるチーフドクター・喜多見幸太役を演じ患者の命を救うことにすべてを注ぐ姿が話題だ。そして公開中の映画「孤狼の血 LEVEL2」(白石和彌監督)では松坂桃李演じる主人公の刑事・日岡秀一と対峙する組長・上林成浩役を演じており、こちらでは凄まじい悪役ぶりが反響を呼んでいる。主演のみならず主演を輝かせる助演でも抜群の存在感を発揮する。
主演と助演で異なる気構え
「主人公の相手役には確かな実力を持つ俳優がキャスティングされます。鈴木さんは『孤狼の血 LEVEL2』では主演の松坂さんを徹底的に追い詰めていく敵役を迫真の演技で演じきっていますが、その期待に応えています。相手役に力量があれば演出の“料理の幅”も広がるんですよね」(映画情報メディアの40代女性編集者) 助演には主演とはまた異なる気構えが必要ともいわれる。とくに主人公の相手役というのは自身の役に熱く没頭しつつも周りを見れる冷静さや、物語全体を見る目を研ぎ澄ませていたほうが良いとか。 「主演というのは作品を牽引しますから現場では率先して士気を高める空気作りも大事になってきますが、役を演じるという面に限っていえば周りなんて考えなくてよいので思い切ってやるのがベストといえます。でも相手役はそれを一番近くで受け止めてゆくポジションなので、構えて、受け止めていくぞっていう気持ちもかなり大事になってきます。それを頑張った結果、『主役を食ってる』みたいになる時もあるでしょうけど鈴木さんの場合は主役を食わずに主役を輝かせているところが絶妙なのではと思います」(前出・映画情報メディア編集者) 3年ほど前、映画「羊と鋼の森」(橋本光二郎監督)に調律師役で出演した鈴木を取材した際、次のように話していた。 「調律師に限らずですが、『プロって何だろう?』と。まず、お客さんあってのものだと思います。でも自分の中での表現があって、目指すものもあって。そういうところは俳優というお仕事と似ているなと思いました。また、演奏するアーティストを監督とすると、僕らは全体を調律するひとつのパーツになっていくんですけれど、演奏する人の向こうにお客さんもいて、そことの関係っていうのは共通したものがあるかもしれないですね」 全体を俯瞰する目を持ちながら自身の表現、目指すところに全力を傾ける。さまざまな作品に主演としても助演としても起用され続けている鈴木だが、そこには作品に起用しやすい(起用したくなる)理由というものがあるということだろう。 ちなみに29日放送の「TOKYO MER~走る緊急救命室~」第9話では外国大使館の地下駐車場での事故が描かれる。また、石田ゆり子演じる赤塚都知事を死の病が襲うという。鈴木がどんな演技を見せてくれるか。 (写真と文・志和浩司)