自民総裁選「岸田・石破・菅」3氏の政策の違いは? <経済・コロナ対策>
【石破氏】 地方に雇用と所得を
「人口当たりのPCRの数が少ない。厳然たる事実だ」「保健所の数が20年、30年の間に半分になってしまった。われわれが反省していかねばならないところだ」 石破氏は会見でコロナ対策を「喫緊の課題」と強調。「保健所の機能をいかにして発揮させるか。OBの活用も含めて考えていかねばならないし、IT化、電子化も遅れている。民間の方々に検査をお願いする、その体制も拡大をしていかねばならない」と課題を列挙しました。 新型コロナウイルス対策のための特別措置法についても「本当にこれで十分であったか」と問題提起。(1)経済的な支援と強制的な対応(2)都道府県への権限移譲――などを考える必要があると訴え、「必要であれば改正も行うべき」と語りました。 石破氏は安倍政権下での経済政策を「評価すべき点がたくさんある」とする一方で改善点もあるという立場です。「株も上がった、企業の利益も上がった。しかし国民の所得は豊かになっただろうか。地方は豊かになっただろうか。中小企業は豊かになっただろうか。GDPというものを考えたときに、低所得の方々の所得を上げていくということ、それはまだ十分に実現できていると思っていない」と話しました。 地方創生担当相を務めた経験も踏まえ、「地方に雇用と所得(を生み出す)、これがまだ実現道半ばだ。安倍政権が種をまいたこの部分を発展的に早急に継承し、変えていかねばならない」と訴えました。 消費税にも言及。「単に下げればいいと言っているのではない」と前置きしつつ、消費税導入時と日本の経済や人口動態の状況が違うと説明し、「消費税の果たすべき役割、それをもう一度検証する」と語った。
【菅氏】 アベノミクス引き継ぐ
「いま、私に求められているのは、コロナ対策を最優先でしっかりやってほしいということだと思っている」 菅氏は官房長官として安倍政権の要を担ってきました。会見でも「感染拡大と医療崩壊を防ぎ、同時に社会経済活動を再開していくという課題に真っ正面から取り組んできた。こうした中、陣頭指揮を執ってきた安倍総理が道半ばで退くことになった」と述べた上で「しかしこの国難にあって政治の空白は決して許されない。安倍政権を支えた者として(中略)総裁選に立候補する決意をした」と出馬理由を語りました。 菅氏が会見で強調したのは安倍政権の諸政策の継承です。経済政策も「アベノミクスの結果として、現在は非常に厳しい経済状況の中にあって、為替は105円前後、株価は2万3000円前後。雇用を増やすこともできた」と評価。「アベノミクスをしっかりと責任を持って引き継いで、さらに前に進めていきたい」と訴えました。 金融緩和を進める日銀との関係も、「(安倍)総理と同じように」とこれまでの流れを引き継ぐ姿勢です。雇用を守り企業を存続させるためには「いまが正念場」との認識も示し、「状況を見て必要であれば金融政策をさらに進めていきたい」と述べました。また、地方銀行について「数が多すぎる」と問題意識を持っていることも示しました。 官房長官としての実績としては、外国人観光客の誘致拡大や農産品の輸出促進をアピール。第一次安倍政権(2006~07年)で総務相として「ふるさと納税」制度を導入したことと合わせて、「地方経済をもっと元気にしたい思いからだ」と訴えました。