菅官房長官、総裁選へ出馬表明 安倍路線「しっかり継承」
菅義偉(よしひで)官房長官は2日、記者会見し、安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選への出馬を表明した。会見で、菅氏は「安倍総裁が全身全霊をかけて進めてこられた取り組みをしっかり継承し、さらに前に進めるために、私の持てる力を全て尽くす覚悟だ」と訴えた。 【動画】自民・菅義偉氏が会見 総裁選への出馬表明へ
菅氏は会見冒頭、新型コロナウイルス対策などを念頭に「陣頭指揮を取られた安倍総理が道半ばで退かれることになった。総理の無念な想いを推察している」と語った。 そのうえで、「しかし、この国難にあって政治の空白は決して許されない。一刻の猶予もない。この危機を乗り越え、全ての国民が安心できる生活を1日も早く取り戻すことができるために一人の政治家として、安倍政権を支えた者として、いまなすべきことはなにか熟慮してきた。そして私は自由民主党総裁選挙に立候補する決意をした」と語った。
アベノミクスも継続
経済政策について、記者から異次元の金融緩和や積極的な財政政策などアベノミクスを引き継ぐのか問われると、為替や株価が政権交代前と比べて改善されたと主張。「私自身はアベノミクスというものをしっかりと責任を持って引き継いでさらに前に進めていきたい」と述べ、継続していく姿勢を示した。 一方、会見での発言について「まるで安倍総理の発言を聞いているかのように感じた。安倍総理の単なる延長なのか」との質問に対しては「いま私に求められるのはこのコロナ対策を最優先でしっかりやってほしい、それが最優先だと思う。官房長官は役所の縦割りをぶち壊すことができるある意味でただ一人の大臣だと思っている。私が取り組んできた縦割りの弊害をぶち破って新しいものを作っていく。私自身はこれから多くの弊害があると思っている。やり遂げていきたいと思っている」と返答した。
「活力ある地方を」
菅氏は出馬を表明した後、秋田の農家で育ったという自らの生い立ちについて語り始めた。そして「私の中には横浜市会議員時代も、国会議員になってからも地方を大切にしたいという気持ちが脈々と流れている。活力ある地方を作っていきたいとの思いを常に胸に抱きながら政策を実行してきた」と政治姿勢を示した。 第1次安倍政権で総務相として「ふるさと納税」を成立させたこと、また官房長官として外国人観光客の誘致拡大や農産品の輸出促進に取り組んだことを実績としてアピール。「こうした取り組みも地方経済をもっと元気にしたい、その思いからだ。この思いも今後も変わらない」と訴えた。
菅氏の略歴
菅氏の公式サイトなどによると、同氏は1948年生まれの71歳。秋田県で高校卒業まで過ごし、上京。アルバイトをしながら法政大学に通い、卒業。衆議院議員秘書、横浜市議などを経て1996年の衆院選で初当選。現在8期目。第一次安倍政権で総務相。第二次安倍政権では、一貫して官房長官として首相を支えた。官房長官としての在任期間は歴代最長。