【大学トレンド】「マンガ学部」「マンガ学科」…大学で学ぶ意義は? 気になる卒業後の進路は…
「出張編集部」に作品を出す
印象に残っているのは、設定に合わせてキャラクターイラストを制作する授業です。 「それまではイメージだけでキャラクターをつくっていたのですが、例えば『魚』という設定であれば、まず徹底的に観察して調べることが大事だと教わりました。あとは人が好印象を抱きやすい色についても勉強になりました。自分の好みに偏っていたところがあったのですが、見る人を意識するようになったと思います」 マンガ文化を学ぶ授業も制作の刺激になりました。 「日本の巨匠と呼ばれるようなマンガ家が、実は海外のアニメ作家の影響を受けているといったことを学びました。天才と呼ばれるような人のオリジナル作品でも、何かしらの作品からインスピレーションを受けているのだと感じました」 年に1~2回、各出版社のマンガ雑誌編集者が大学に来る「出張編集部」では、学生たちがプロの編集者にマンガを講評してもらう機会があります。出版社ごとに分けられた教室に編集者がいて、学生が作品を持っていきます。 「編集者によって見方が違うので、勉強になりました。評価される作風が出版社によっても異なり、自分の作品がどこの出版社に向いているのか、ということがわかったのも、いい経験でした」
出版社に作品を持ち込み
大学の課題だけではなく、授業の合間に作画室を利用して個人的にマンガを描くようになり、2年次にはプロのマンガ家になることを決意しました。きっかけになったのは、出版社へのマンガの持ち込みでした。 「作品を制作していると先生から、『出版社に持ち込んだほうがいいよ』とアドバイスされました。編集部に行って、目の前で作品を見てもらうときは緊張しましたが、そこでほめてもらい、そのまま編集者の方が担当についてくれることになりました」 3年次からは、プロのマンガ家でもある夢来鳥(むくどり)ねむ教授の研究室に所属。ストーリーマンガの技術をさらに磨き、夏には「第17回月刊少年マガジンコミック大賞デビュー」(講談社)の奨励賞に選ばれました。 「そのときはペンネームの茉離阿(まりあ)しか公表されませんでしたが、うれしかったです。次の第18回では佳作に選ばれ、アプリやウェブ上で作品が公開されました。作品が公開されるのはもちろんうれしいですが、まだまだ反省点もたくさんあります」 プロのマンガ家になると決めてからは、作品を生み出す苦しさを感じているそうで、「同級生たちと徹夜で作業したり、お互いの作品を見せ合ったり。同じ夢を持つ大学の友達と関わっている時間が楽しいです」と語ります。現在は卒業制作に取り組んでおり、いずれマンガ雑誌で連載を持つことを目標にしています。