非情な”戦力外通告”…異色のロングスロー”使い手”原山海里がトライアウトに挑戦する理由とは?
選手としての幅は大きく広がったが、それでも自らの最大のストロングポイントは、これまでも、いま現在も、そしてこれからもロングスローだと原山は胸を張る。 「そこは絶対に変わらない。自分のロングスローはどこのチームへ行っても通用する武器だと思っているし、大きな自信を持っている。なのでロングスローをアピールしつつ、それ以外の部分でも他の選手と遜色ないプレーをしていかないといけない」 原山のロングスローはいまも、タッチライン際から反対側のポスト付近まで飛ぶ。スピードも増し、力強さが加わる分だけ、軌道もより低空を切り裂いて伸びてくる。 高校時代よりもさらに威力と精度を増したロングスローを、限られたプレー時間のなかでしっかりと披露し、その都度に八戸のファン・サポーターへ衝撃を与えてきたからか。原山の名が記された横断幕には、いつしかこんな言葉が添えられるようになった。 「強肩の狂犬」 残念ながら八戸での軌跡も、わずか1年で途切れた。それでも「狂犬」に込められた最高の賛辞は現役続行以外の選択肢を封印し、トライアウトで披露した精いっぱいのアピールを経て吉報が届くと信じる、原山の背中を力強く押す究極のエールになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)