なぜ怪我で23試合出場に留まった神戸のイニエスタが2年ぶり2度目のベストイレブンに選ばれたのか…「特別な1年だった」
Jリーグ恒例の年間表彰式、Jリーグアウォーズが6日夜に都内のホテルで行われ、先週末に閉幕した2021シーズンを彩った選手や監督、審判らが一堂に会した。 注目の最優秀選手賞(MVP)は、連覇を達成した川崎フロンターレのエースストライカーで、23ゴールをあげて横浜F・マリノスの日本代表FW前田大然(24)と得点王を分け合ったレアンドロ・ダミアン(32)が初受賞。川崎からはダミアンに加えて、キャプテンの日本代表DF谷口彰悟(30)ら総勢7人がベストイレブンに名を連ねた。 クラブ史上で最高位の3位に躍進したヴィッセル神戸からは、元スペイン代表の司令塔アンドレス・イニエスタ(37)が2年ぶり2度目のベストイレブンを受賞。右足に負った全治4ヵ月の重症から復帰した今シーズンを「特別だった」と位置づけた上で、契約を延長して臨む来シーズンへ「今年以上の結果を目指したい」と大きな目標を掲げた。
全治4か月の重傷を乗り越える
新型コロナウイルスの影響でオンライン形式だった昨年から一転、2年ぶりに対面で行われたJリーグアウォーズ。主役の一人は間違いなくイニエスタだった。 家族が待つ神戸へ戻る便の関係で、単独でベストイレブン受賞会見に臨んだ直後のひとコマ。入れ替わる形で記者会見場に入ってきた王者・川崎の主力選手たちと、笑みを浮かべながら順次ツーショット撮影に応じる。来シーズンから契約をさらに2年間延長している37歳のレジェンドは、会見で印象的な言葉を残してつかの間のオフに入った。 「今シーズンは特別だった。始まったばかりのころは歩くこともままならなかったけど、チームは過去最高の成績を残すことができた。個人的にもいままでにないコンディションで終えられた。来シーズン、さらに高みを目指すモチベーションにあふれている」 悪夢に見舞われたのは、ちょうど1年前の昨年12月7日だった。 カタールで集中開催されたACL。上海上港(中国)との決勝トーナメント1回戦で右足のつけ根を痛め、後半途中で交代を余儀なくされたイニエスタは、中2日で臨んだ水原三星(韓国)との準々決勝で延長後半から志願出場。1-1のまま突入したPK戦でも1番手を担い、痛めた右足で必死にキックを決めて神戸を鼓舞した。 しかし、ベスト4へ進出した代償は大きかった。蔚山現代(韓国)との準決勝を欠場したイニエスタの負傷は右大腿直筋近位部腱断裂と診断され、母国スペインへ渡って緊急手術を受けた。全治約4ヵ月の重症。戦列復帰を果たしたのは5月だった。