教員の給料がアップしても「業務削減」は必須の訳 学校現場の「働き方改革」に対する関心大 2024年に読まれた記事で振り返る
川西市立多田小学校の新教育課程の成果
2024年の終盤は、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の見直しをめぐって教育業界全体が揺れた。結果として、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに支払われている教職調整額は、4%から10%に引き上げる方向で決まった。財務省から出されていた「働き方を改善する」という条件はなしとなったが、業務の削減にも引き続き取り組んでいかなければ学校はもたない。2024年に配信されて反響の高かった記事を見ても、学校現場の疲弊は明らかで「働き方改革」に対する関心の高さがうかがえる。ここでは2024年に読まれた人気記事10本から、この1年を振り返る。 【写真】2024年に読まれた記事を振り返る 川西市立多田小学校(兵庫県川西市)では、2023年度より「学年担任制」「教科担任制」「40分授業午前5時間制」を組み合わせた新教育課程を導入した。この取り組みは、教員の負担を軽減して多様な働き方に対応するとともに、児童の自律を促すことを目的としている。 導入から1年半を経て、どのような成果や課題が見えてきたのだろうか。校長の西門隆博氏と、新教育課程のプロジェクトリーダーを務める森優太氏に聞いた。 「学年担任制×教科担任制×40分授業午前5時間制」導入した公立小の1年半後
精神疾患による休職者に寄り添う「ゆきこ先生」
文部科学省が2023年12月に公表した「令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、教職員の精神疾患による休職者数は6539人で過去最多となった。休職には至っていないものの、疲れ切っている教員も少なくないだろう。 今、そうした教員たちに寄り添うのが、「ゆきこ先生」こと渡邊友紀子氏だ。適応障害で休職した経験を基に、SNSを通じて教員の相談に乗っている。渡邊氏自身は休職を機に、働き方をどのように見つめ直し、現場に復帰したのだろうか。 「ある朝学校に行けなくなった」適応障害で休職した教員が復職後に手放したこと
大阪市立大隅西小学校に起きた大変化
「今から20年前、子どもが主体的に学ぶ授業を目撃し、目から鱗の衝撃を受けた」ーー。 そのときから試行錯誤で子どもたちに任せる授業スタイルを完成させていったという大阪市立大隅西小学校校長の原雅史氏は、2017年に小学校の校長になったことをきっかけに学校全体で学び合いの授業に取り組んできた。 どんな授業なのか、子どもたちはどのように変わったのか。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏が取材した。 不登校がゼロに、子どもが「学び合う」授業に変えた大阪市立大隅西小の大変化