【ABC特集】さよなら”不夜城”「味園ビル」 裏なんばを照らす妖艶なネオン 昭和の香り残す2階バーエリア約40店「最後の冬」に密着 噂飛び交う”ビルの今後”は?
集団就職で大阪へ 41年前に”味園で独立”したママ ずっと黒字経営も・・・閉店と共に幕を下ろす決断
銭ゲバからいくつかの店を挟んで左に位置するのが、41年前から営業を続ける「スナックまち子」。 少し重めの白い扉を開けると、歌謡曲や演歌のカラオケが流れて来ます。お酒を頼むと、沖縄訛りのママが”殻付きピーナッツ”を出してくれます。 その光景は、令和6年から昭和99年に「次元移動」したかのようです。 60年前の1964年、沖縄から集団就職で大阪にやってきたと話すまち子ママ。子どもを育てながら水商売で働き、41年前に独立する場所として、味園の2階に店を構えました。
昔は、昼も夜も連続して働いていましたが、「苦労したとは思っていない」といいます。 「娘が『なんでほかのお母ちゃんは昼働いてんの、うちの母ちゃんは夜に仕事に行ってんの』って言うから、ごまかしでパートに行った」 努力の甲斐もあり、スナックは41年間ずっと黒字営業だといいます。
「あと10歳若かったら店を続けるんやけど、もう『18歳』になったから」 60年前、集団就職で大阪にやって来たまち子ママ。 こんな、ママの冗談が聞けるのもあと数日です。
まだ閉店しない店も? 竣工から69年 味園ビル”改造の歴史”
2階バーエリアの入り口すぐ、らせん階段を登ってすぐの場所にあるのが「ナイトスポット・エミ」。創業は1979年、45年前から営業を行う、”味園2階の最古参”です。 エミでは、予約をするとママが作った手料理を味わう事ができます。味園2階のバーエリアでも貴重な”腹まで満たされる”お店です。 「そういう(契約終了の)お知らせをまだ受けてないので、なんとかやっています」と話すのはママのエミさん。 深く聞こうとしても、これ以上の事は教えてはくれませんでしたが、どうやら他の店とは契約形態が違うんだそう。 エミさんのお店は年明け以降も営業を継続します。 店の特徴は、足を踏み入れた瞬間に圧倒される内装です。壁も天井もゴツゴツで、ダウンライトや、キラキラ光るガラス玉などが壁に埋め込まれています。効率第一の近年の建築では絶対見ることができない、”手間とお金ががかかっていそう”な装飾で彩られています。 この内装が生まれたきっかけは、69年にも及ぶ味園ビルの歴史と深い関わりがありました。それを知るのが、エミさんの店の常連客で、味園ビル近くで85年間暮らし続ける男性です。