「私は変われた」休養から5年、消えた元賞金女王・森田理香子が明かす今の心境 #今つらいあなたへ
試合に出ない元賞金女王の今
2023年を迎えてから、森田はインスタグラムなどのSNSの発信にも積極的だ。練習風景やスイング動画のほか、自身がプロデュースするウエア「ヤミーローズ」の販売も手掛けている。 「今はプロゴルファーとしての仕事ばっかりです。生活のメインは練習(笑)。ラウンドをするのも楽しくなりました。それにもっとうまくなりたいんです」 森田が発した予想外の言葉に「うまくなりたい?」と思わず聞き返した。 「はい。うまくなりたい。休養宣言したときもその気持ちはありながらももがいていたんです。何歳になってもプロゴルファーでいたいというのは、そういうもんなんかなと思っています」 1番ホールでティーショットを打つ森田の“ツアー復帰”を想像した。 「そんな甘い世界ではないのは、自分が一番分かっているんです。でもそこに挑戦する気力があるから練習しています。またやりたいなって思うから、引退って言わんでよかったなって思っています。今は笑いながら言えるけど、あのときはめっちゃ病んでたから(笑)」 23歳で賞金女王になってから10年。33歳になった森田はこう言って笑い飛ばし、その場の空気を和ませた。
「人は変えられへんけど、自分は変えられる」
つらい経験をしてきたからこそ、いま多くの人たちに伝えたいことがある。 「全員しんどい。自分だけじゃないから。そこは自分だけって思わないでほしい。私、人間観察が好きで、すごく幸せそうに見える人にも、しんどいことは絶対あるんです。でも、それを見せるか見せへんかの問題やと思うんです」 森田は繊細で感受性が強い。それに人当たりの良さも感じさせてくれるが、「休養する前はツンツンしてました」と反省していた。 「例えば、コンビニのレジに店員さんがいても、昔は人の顔を見ないし、商品を渡されても、ありがとうございますも言わへんかった。塩対応みたいな。でも、ゴルフから離れて、『自分を変えなきゃいけないな』と思ったんです。今は人の顔見てニコッて笑って、ありがとうございますも言えるようになった。そのとき、『あ、変わったな』と気づいたんです。全然知らない人に何かしゃべれるぐらい、自分が変わってきたなって思います」 根底にあるのは、「人は変えられへんけど、自分は変えられる」という意思があったからだ。 「自分を変えられない人が8割くらいだと思うんです。でも私はものすごく変われた。自分を変えるには、反復練習しかない。毎日が訓練。昔は100人いたら100人に好かれなあかんと思ってたから、すごく苦しかった。今は100人いて、まあ30人ぐらいでいいかなって(笑)」 心に余裕ができ、自分が変わることで、周囲も変わることを知った。 「だからって、つらいことがあったとしても、それを無理に乗り越えようと思わなくていい。悲しかったら悲しんだらいい。時間は解決してくれないけど、やっぱり進むしかない。一日一日、一生懸命生きること。その積み重ねで気持ちはかなり変わっていく。とにかく感謝、ありがとうっていう気持ちを持ってたら、乗り越えられるって私は思うんです」