風呂場にもメモ帳を持ち込んで──サッカー日本代表・森保一監督の“一日”
ドイツ代表、スペイン代表を打ち破ったカタール・ワールドカップの衝撃。日本代表を率いる森保一監督も一躍「時の人」となった。続投要請を受け入れ、これまで以上に多忙な日々を過ごしている。すべては毎日の積み重ね――。揺るがないポリシーとは、日本サッカーに対する変わらぬ思いとは。森保一の「一日」から実像が浮かび上がってくる。(取材・文:二宮寿朗/撮影:近藤俊哉/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
ヘアスタイルは刈り上げない程度で短く
森保一のヘアスタイルは四半世紀、変わっていない。 現役時代、プレーするのに邪魔にならないからと「刈り上げない程度で短く」に落ち着いたという。広島にあるなじみの店で髪を切っていたが、2018年に日本代表監督に就任して都内に移ってからは知り合いの美容院に通っていた。しかし代表監督ともなるとスケジュールが読めず、予約が取れない。困ったなと思っていたところに偶然、近所にくるくると回る3色のサインポールの立つ散髪店が目に飛び込んできた。 「『明日空いてますか』って連絡を入れて『大丈夫ですよ』と。一度切ってもらってからは基本的にはもうそこで。30分くらいでパパッと終わるので助かっています」
先のカタール・ワールドカップで森保率いる日本代表は、ワールドカップ優勝経験国であるドイツ代表、スペイン代表に対していずれも逆転勝ちしてグループリーグを突破し、ノックアウトステージのラウンド16では前回準優勝のクロアチア代表とPK戦までもつれ、涙をのんだ。神がかった戦いぶりは日本列島を沸騰させ、森保も「時の人」となった。 世間からの目はずいぶんと変わった。 「今までは歩いていてもサッカーファンのコア層の方に気づかれるくらい。ワールドカップが終わってからはライト層といいますか、サッカーにあまり興味のないようなおじいちゃん、おばあちゃんにまで声をかけられるようになりました。純粋にうれしいと思いましたね。それは自分が有名になったとかじゃありません。サッカーを見てもらえる一つの指標になりますし、そうなれば選手たちがやりがいや幸せを感じてプレーできるので」