声優・金田朋子。流産を乗り越えて、44歳で長女を出産。私の武器はただ一つ。「できるママ」をあきらめても唯一娘に誇れるもの
ママとパパは真逆なタイプ。私だからこそ、教えられることもある!
――森さんは、どんなパパですか? 金田 パパはすごく器用で、責任感が強い人ですね。子育てにも熱心で、いろいろなことについて勉強しています。私は笑っているだけが取り柄なので、本当にタイプが真逆なんですよ。パパがとにかくなんでもできるからこそ、「なんで自分はできないんだろう」という思いもありましたね。 ただ、これは私にとってすごく印象的な出来事だったんですけど、一度、渉くんが私をほめてくれたことがあって。以前、室内で砂遊びができる場所に家族で遊びに行ったのですが、そこで私が、顔だけ出して横たわるように全身砂の中に埋もれてみたんです。そのときに、「そういうことができる親はなかなかいないよね」と言われて。「自分なら半分ぐらいは入るけど、そこまで思いきってはできないな。子どもと一緒になって全力でできるのは、いいところだよね」と感心されたんです。 それを聞いてやっぱり、自分と渉くんでは、タイプが全然違うんだなと痛感しました。でも、一緒に砂に埋もれた娘は楽しそうにしていて、こういう思いきりのよさが大事なんだというのをきっと感じてくれたと思うんです。これは、私だから伝えられることなんだなと。ママとパパが同じことを教えなくてもよくて、それぞれが伝えられることを伝えればいいんだと気づきました。 私は声優ですが、実は1種類の声しか出せないんです(笑)。声優さんの中では、いろいろな声のバリエーションをもっている方もたくさんいらっしゃいますが、私は違います。「私の人生って、1つのことに集中するのでいいんだ!」と思って、そんなふうに、子育ても自分らしいやり方でいいのかなと思うんです。 私ももちろん、「できるママ」「かっこいいママ」でいたいという気持ちはあるんです。でも、それをあきらめることも大切だなと感じるようになったら、少しだけ気持ちが楽になりました。 お話・写真提供/金田朋子さん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部 44歳という年齢での出産は体力的な問題よりも、プレッシャーやあせり、流産に対する不安のほうが大きかったという金田さん。出産後の子育てでは、器用にこなす元夫・森さんと比べて悩むこともあったそうですが、娘さんから「ママの大好きなところは笑顔なところ」という言葉をもらって、自分らしい笑顔いっぱいの子育てをしていけばいいんだという気持ちになったそうです。。 インタビューの後編は、離婚という道を選択したことや、これからの家族のことについて聞きます。
金田朋子さん(かねだともこ)
PROFILE 1973年、神奈川県生まれ。2000年に声優デビューし、NHKアニメ『おしりかじり虫』シリーズのおしりかじり虫18世役や、テレビ東京系アニメ『あずまんが大王』の美浜ちよ役などを担当。2013年11月、タレント・森渉さんと結婚。2017年6月、第1子となる女の子を出産。2024年7月、離婚したことを発表。 ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年11月の情報で、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部