なぜ五輪世代のU-24代表に鳥栖の高校2年MF中野伸哉が“飛び級”抜擢されたのか?
開幕まで4ヵ月あまりに迫った東京五輪へ向けて、MF久保建英(ヘタフェ)をはじめとするヨーロッパ組や、昨シーズンからブレーク中のMF三笘薫(川崎フロンターレ)らを含めたフルメンバーでの活動を、約1年4ヵ月ぶりに再開させるU-24日本代表に17歳の高校2年生が大抜擢された。 日本サッカー協会(JFA)は19日、U-24アルゼンチン代表との国際親善試合(26日・東京スタジアム、29日・北九州スタジアム)に臨む、東京五輪世代となるU-24日本代表メンバー23人を発表。サガン鳥栖U-18に所属するDF中野伸哉(佐賀・龍谷高2年)が、本来の対象世代となるU-18代表だけでなくU-20代表をも飛び越えて初めて招集された。 2003年8月17日生まれの中野は昨シーズンに続いて、下部組織に所属したままトップチームの公式戦に出場できる2種登録選手として鳥栖に同行。17歳6ヵ月10日で迎えた2月27日の湘南ベルマーレとの開幕戦で先発フル出場を果たし、MF稲本潤一(現SC相模原)がガンバ大阪時代の1997シーズンにマークした、17歳6ヵ月25日のJ1最年少開幕戦先発記録を24年ぶりに塗り替えた。 浦和レッズとの第2節以降も3バックの左ストッパーとして、中野はすべてのリーグ戦で先発。第5節までを4勝1分けと無敗で、なおかつすべて無失点で封じ、川崎、名古屋グランパスに次ぐ3位につけている鳥栖の開幕ダッシュに大きく貢献してきたパフォーマンスが評価された。 日程が重複するフル代表の活動に専念する森保一監督に代わって、U-24代表の指揮を執る横内昭展監督(フル代表コーチ)は、JFAの反町康治技術委員長とともに臨んだオンライン形式でのメンバー発表会見で、東京五輪本大会を見すえた陣容に中野を加えた理由をこう説明した。 「昨シーズンからJリーグの試合に出ていて、今シーズンに入っても好調の鳥栖のディフェンスラインの一角として、すべての試合に出ている。アシストなどの活躍も目立つところだと思うし、私たちも視察をするなかで、今回ここに入って来られるメンバーの一人ということで選出しました」 横内監督が言及したアシストを、中野は5-0で快勝した10日のベガルタ仙台戦で2つマークしている。最初は前半39分。守護神・朴一圭のロングフィードを、慌てて間合いを詰めてきた仙台の右サイドバック、蜂須賀孝治の動きを冷静に見極めながら利き足の左足でワンタッチ。これが蜂須賀の後方に広がっていたスペースへのスルーパスとなり、MF小屋松知哉の3点目を生み出した。 圧巻は後半11分。タイミングよく左タッチライン際を駆け上がり、小屋松からのパスを呼び込んだ直後に再びワンタッチでクロスを一閃。これがファーサイドへ走り込み、最後はジャンプしたMF樋口雄太の頭へピンポイントで通って4点目を導いた。ゴールには結びつかなかったものの、前半アディショナルタイムにも左サイドを攻め上がって絶妙のクロスを前線へ供給している。