なぜJ3のFC岐阜は”問題児”の柏木陽介を獲得したのか?
新型コロナウイルス禍で浦和レッズ内に設けられた規律を繰り返し破った代償として、退団を前提に移籍先を探していた元日本代表MF柏木陽介(33)が、J3のFC岐阜へ完全移籍することが決まった。 2010シーズンから11年間プレーしてきた浦和、3シーズンぶりのJ2復帰を目指す岐阜がともに12日に発表した。自ら希望した「42番」を背負う柏木は、近日中に新天地へ合流する。 双方合意の上での退団が発表された2月16日の時点で、浦和の戸苅淳フットボール本部長は「交渉次第では期限付き移籍もありうる」としていた。新シーズンへ臨む陣容がほぼ固まっているなかで、問題児のイメージが定着した柏木に関するクラブ間交渉が難航する状況も想定した発言だった。 しかし、両クラブから発表されたのは岐阜への完全移籍だった。2016シーズンから「10番」を背負い、2018シーズンからは2年間にわたってキャプテンを務めた、自ら「特別」と位置づける浦和と完全に袂を分かつ偽らざる心境を、浦和が発表したリリースのなかで柏木はこう綴っている。 「昨年も自覚を欠いた行動を起こしたにも関わらず、今回新監督と一緒にチーム一丸となって開幕を迎えなければならない大事な時期にチームの和を乱す行為を行ったことを深く反省しています。(中略)正直、このような形でチームを離れるとは思っていなかったので、自分が招いたことですが、とても悲しいですし、何より申し訳ない気持ちでいっぱいです」 そして、岐阜からも発表されたリリースのなかでは、ホームの岐阜メモリアルセンター長良川競技場にヴァンラーレ八戸を迎える、14日の明治安田生命J3リーグ開幕節を目前に控えた状況で、騒動の渦中にあった自分を迎え入れてくれた新天地に対する感謝の思いが綴られていた。 「浦和レッズで自分の甘さから結果として規律違反を行ってしまい、移籍先を探すことになった自分にFC岐阜からオファーをいただき、サッカーができる環境を与えてくださったこと、言葉では言い表せないくらいの感謝の気持ちしかありません」 そもそも岐阜はなぜ柏木の獲得へ向けてオファーを出し、実際に契約締結にいたったのか。