なぜザルツブルクから特別な若手選手が世界へ羽ばたくのか? ハーランドとのプレー比較が可能な育成環境とは
近年、サッカーの育成において欧州随一とされているオーストリア。なかでもレッドブル・ザルツブルクの育成アカデミーは最新鋭の施設が完備され、選手育成の名門バルセロナ、アヤックスと並ぶ世界的評価を得ている。では、バイエルンMFライマー、RBライプツィヒMFシュラーガーらをアカデミーで育て上げ、マンチェスター・シティFWハーランド、リバプールMFソボスライらを世界トップレベルへ羽ばたかせた環境とは、いったいどのようなものなのか? (文=中野吉之伴、写真=アフロ)
なぜザルツブルクから優秀な若手選手が世界に羽ばたくのか?
レッドブルグループが注目を集めている。日本では大宮アルディージャが傘下に入り、またマインツ、ドルトムント、リバープールで監督を歴任し、数多くの記録だけではなく、記憶に残るサッカーを魅せてくれたユルゲン・クロップが2025年1月1日からレッドブルグループのグローバルサッカー部門責任者に就任する。 そんなレッドブルグループの一つであり、選手育成に定評があるレッドブル・ザルツブルクの育成アカデミーの取材のためオーストリアを訪れた。サディオ・マネ、ナビ・ケイタ、コンラート・ライマー、ダヨ・ウパメカノ、ザヴェル・シュラーガー、アーリング・ハーランド、ドミニク・ソボスライ、ベンヤミン・シェスコ、そして南野拓実と数多くの選手がこのクラブを足掛かりに世界的トップクラブへステップアップを果たしている。 世界的音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが生まれ、ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台として有名なザルツブルクは人口15万人と決して大きな町ではない。なぜここからそんなにも多くの選手が羽ばたいていくのか。 市内からトラムで15分、停留所を降りて緑豊かな地域を10分ほど歩くとアカデミーセンターが見えてくる。グラウンドではU-21が精力的なトレーニングに汗を流していた。インテンシティがとにかく高い。足を止めずに攻守に激しい競り合いが連続で行われている。激しいだけではない。時間的、空間的プレッシャーがかかる中でより最適な判断をするためのアプローチを指導者が徹底している。 トレーニング後に一人の日本人指導者が筆者のほうに駆け寄ってきてくれた。宮沢悠生。ザルツブルクでU-15、U-18コーチ・監督を歴任し、今季はU-21でコーチを務めている。「今日はいい練習ができました」と充実した笑顔を浮かべる宮沢の案内で、育成施設を一緒に見学させてもらった。