なぜ五輪世代のU-24代表に鳥栖の高校2年MF中野伸哉が“飛び級”抜擢されたのか?
身体が成長途上の中野は身長167cm体重49kgと細身で、特に体重は今シーズンのJリーグ登録選手のなかで最軽量となる。しかし、対戦相手との体格差を補ってあまりある能力の高さは、鳥栖を率いる金明輝監督が湘南との開幕戦後に残した言葉が端的に物語っている。 「相手が蹴ってくることがわかっていたので、スピードや走力で負けない選手を配置した。今日の3バックのなかでは、中野選手が一番よかったと思っている」 スピードやスタミナだけではない。仙台戦で何度も見せた左足による正確無比なテクニック。4バックの左サイドバックを主戦場としながら、3バックの左ストッパーにも完璧に対応できるインテリジェンスの高さ。そして現状に決して満足しない、飽くなき向上心も中野の急成長を支えている。 胸中に秘める負けん気の強さを象徴するかのように、駅前不動産スタジアムに浦和を迎える、今月6日のホーム開幕戦を前にした中野はこんな言葉を残していた。 「17歳だからと、なめられたら終わりだと思っている。そこは負けずにやっていきたい」 左利きの選手は、特に最終ラインにおいて常に重宝がられる。U-24代表も例外ではなく、今回の招集メンバーでは、中野の他には町田浩樹(鹿島アントラーズ)しかいない。ただ、身長190cm体重80kgの町田の主戦場はセンターバックで、左利きの左サイドバック探しは懸案事項でもあった。 森保監督のもとでU-20代表として船出した2017年12月から、最終ラインは3バックが採用されてきた。ただ、昨年末に千葉県内で国内組だけで実施された合宿では4バックも導入され、横内監督もアルゼンチン戦へ向けて「どちらも考えている」と併用プランを明かしている。2つのシステムに対応できる中野は、左利きというストロングポイントを介してまさにうってつけの存在となる。 今シーズンの鳥栖には8人を数える、中野の先輩にあたるアカデミー出身選手が在籍している。そのなかの19歳コンビ、DF大畑歩夢とMF本田風智は同時期にトレーニングキャンプを行う、U-20日本代表候補に名前を連ねた。鳥栖の中盤で代役のきかない存在感を放つ、同じく19歳の松岡大起も17日の柏レイソル戦で右肩を故障していなければ、U-24代表に招集されていた可能性が高い。