石浦宏明(No.38 KeePer CERUMO GR Supra)「予選では、水煙で前が見えなくても全力でずっとプッシュし続けた」 | SUPER GT 2024 第8戦 モビリティリゾートもてぎ【SUPER GTあの瞬間】
石浦:そうなんですよ。なので、例えば予定より自分たちが1周遅らせたりすると、その周に入ろうとしていたクルマも入ってきたりとか、1周遅らせるつもりが、結果的に4周も5周も遅らせなきゃいけなくなる可能性もあるので、かなりリスクがあるんですよね。
── 交代した大湯選手は、タイヤが厳しいなかで終盤は3番手走行中に16号車との攻防戦を展開。そのなかで見事に猛追をシャットアウトする走りでしたが、どうご覧になりましたか?
石浦:(8号車の)野尻(智紀)選手にかわされるまでは2位を走っていましたが、(8号車とは)だいぶペースが違いましたね。でもなんとか16号車は抑えてほしいなと願いを込めて応援をしていました。とはいえ、見るからにうしろのペースが速そうで、これは残り周回を考えるとちょっと3位も難しそうだなっていう感じで。裏事情になりますが、待ってる側のドライバーとしては僕も汗だくで(クルマを)降りてるので一旦着替え終わっているんですが、表彰台に上がるとなるとレーシングスーツを着なきゃいけなくて。だけど、3位と4位の境目だったので、これは着替えていいのかな、着替えちゃいけないのかなっていう感じで(苦笑)。一旦は残り10周ぐらいで(レーシングスーツに)着替えたんですけど、自分が着替えたあとに抜かれたらすごいなんか嫌だなと思いつつ、また私服に着替える覚悟を決めたりとか……。なので、普通だったらファイナルラップはピット側に行くんですが、どっちに着替えていいかわからなかったので、トランポの部屋のTVでチェッカーシーンを見ていました。こんなことって滅多にないですよね(笑)。
── タフな攻防戦をしのぎ切った大湯選手ですが、スティント中は無線を通してなにかやりとりはしていたのでしょうか?
石浦:我々は作戦的としてピット時間をなるべく短くしたかったので、給油量も決して余裕がある状況ではありませんでした。大湯選手とは、レース中も無線で燃費の話をずっとしていて。見るからにツラい状況でしたが、彼はうしろを防ぎながらさらに燃費も気にしながら走らなきゃいけなくて。ものすごくこう、同時にいろんなことを考えて、いろんな技を使いながらレースをしなきゃいけなかった。もう本当に頭をフル回転させながら仕事をしていたと思います。なので、レースのあとはあまり喋った記憶はないのですが、レース中は『もう燃料使っていいの?』とか『もう全開で走っちゃうよ」とか、『行けるようになったら教えて』みたいな、そういう燃費に関するやり取りとタイヤに関するやり取り…… もうとにかく必死でやれることをやってるからっていうのがずっとあったんですけどね。僕としては、3位を守ってくれてうれしかったんですが、戻ってきた大湯選手の表情は、もう相当悔しそうな感じで。やっぱりもともと2位を走っていたっていうのもありますし、36号車と戦いたかったっていう気持ちもあったので、かなり悔しそうな表情で帰ってきましたね。