英国メディアが自国のドライバーを好意的に扱うという意見に対し、解説を務めるブランドルは「そのようなことはない」と否定
『Sky Sports F1』の解説者マーティン・ブランドルは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとチームの元デザイナーであるエイドリアン・ニューウェイからの最近の批判に答え、フェルスタッペンに対してイギリスメディアが偏見を持っているという主張を一蹴した。 【写真】2023年F1アメリカGP グリッドでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にインタビューを行うマーティン・ブランドル 今年の夏、ニューウェイは『The High Performance』ポッドキャストのインタビューで、2021年のアブダビGPでフェルスタッペンがタイトルを獲得したことが物議を醸した後、『Sky F1』の報道が不当にフェルスタッペンを標的にしたと示唆し、レッドブルでF1を支配していた時代のセバスチャン・ベッテルがしばしば受けていた扱いとの類似点を挙げた。またニューウェイは、『Sky』の報道は「かなり国家主義的」に映る可能性があると主張した。 フェルスタッペン自身も最近、サンパウロGPでの見事な勝利の後にイギリスのメディアが来なかったことに疑問を呈し、同様の意見を繰り返した。 「イギリスの報道陣が誰もいないが、彼らは空港まで走って行かなければならなかったのか?」とフェルスタッペンは語った。 この皮肉な発言は、今年9月のシンガポールGPでの同様のコメントを受けてのものだ。フェルスタッペンは、パドックで否定的な関心が寄せられるのは自分が「間違ったパスポート」を持っているせいかもしれないと示唆していた。 ブランドルは、1990年代後半から『ITV』、『BBC』、『Sky』などでイギリス放送界の主要人物として活躍してきた。彼は今週の『Sky F1』ポッドキャストのエピソードで、『Sky』の放送が実際にイギリス人ドライバーに好意的な内容になっているのかと問われ、こうした非難に直接言及した。 「いや、私はそうは思わない」とブランドルは答えた。 「そのようなことはないと思う……。つまり、私はイギリス人で、元イギリスのF1ドライバーであり、我々は主にイギリスの放送局(視聴者)に向けて放送している」 「他社は我々の番組を世界中に届けているが、我々はそうしているだろうか? 我々はまったく違う……。オリンピックやワールドカップ、ヨーロピアンカップを見ると、明らかに解説者はどの国の人でも自国を熱烈に支持している。我々はそんなことはしていないと思う。我々はかなりバランスが取れていると思いたいし、本当にそう考えている」 ブランドルは、批判はこの仕事の一般的な側面であると指摘し、放送チームはあらゆる方面から否定的なフィードバックを受けることが多いと明かした。F1ファンの熱烈な情熱と『Sky』の報道の世界的広がりが組み合わされると、偏見や否定的なコメントの兆候が見られたときに、強い反応が生まれることがよくある。 「実際のところ、我々はほぼ全員から批判を受けている」とブランドルは述べた。 「この27年や28年で私が学んだことは、誰かについて1000や1万のポジティブな発言をしても、ひとつのネガティブな言葉が相手に伝わったり、ファンや家族、友人がそれを伝えたりするということだ。そして、冷たく横目で見られることもある」 F1解説者としての自身の経験を振り返ったブランドルは、長年にわたるドライバーたちとの交流から得た逸話を披露し、ドライバーたちから肯定的なフィードバックを得ることは極めて稀だと述べた。 「『僕についてあなたが話してくれたことに感謝している』と誰も言いに来ることはない」 「実は、一度だけは経験した。それはニコ・ロズベルグだった。ずいぶんと前のことだが、マレーシアで彼は私のところに来て、『先週末、あなたが僕について言ってくれたことに感謝したい』と言ったんだ。私はこう言った。『それは本当にうれしいよ。正直に言うと、君は私にそのようなことを言ってくれた最初のドライバーだ。ちなみに最後のドライバーだろう』とね」 ブランドルは、ロズベルグの感謝でさえ間接的なものだったと語った。 「私は『差し支えなければ、私が言ったことで君が気に入ったことは何だったのだろう? 参考までに聞きたいのだが?』と言った。彼は『わからない。母に、あなたに感謝する必要があると言われたんだ』と言ったよ。つまり、実はまだドライバーから礼を言われたことがないということだ!」 F1がますますグローバル化し、ファンの関心がかつてないほど国際的になっている時代に、ブランドルの反応は、このスポーツを報道するメディアが直面している複雑さと課題を浮き彫りにしている。特に国内放送において、偏見と受け止められる物事に対して行われている継続的な監視は、F1が世界中で人気を博している背景にある複雑な側面として依然残ったままだ。 [オートスポーツweb 2024年11月17日]