石浦宏明(No.38 KeePer CERUMO GR Supra)「予選では、水煙で前が見えなくても全力でずっとプッシュし続けた」 | SUPER GT 2024 第8戦 モビリティリゾートもてぎ【SUPER GTあの瞬間】
── 悔しさを見せた大湯選手だったようですが、一方、今シーズンの38号車としては着実に仕事ができているという部分もあります。今回の結果を「嬉しい気持ち」と「安堵した気持ち」、「 ああ疲れた」というふうに分けるとしたら、石浦選手のなかではどのぐらいの割合になるんでしょうか?
石浦:やっぱりチャンピオンシップを戦ってるので、今回のレースに行く前は、 ここで大きなステップを踏んでチャンピオン争いのど真ん中で最終戦に行くのを想像して戦っていました。そういう意味では、ほぼほぼ(タイトル獲得の)可能性が低くなった、チャンスはなくなった、というショックは結構大きかったですね。大きかったんですけど、でも、それぞれがいい仕事をしたという感覚もあって。なので、結構複雑な心境です。
── とはいえ、レースは"水物"。終わってみるまでわからないなかで、最終戦の鈴鹿を迎えます。展望をお聞かせください。
石浦:数字上は(チャンピオンの)権利があるんですが、実質ポール・トゥ・ウィンでライバルが“0点”みたいなものすごく限られた状況なので、ここは自分たちにどうこうできるようなポイント差ではないかなと正直思っています。なので、自分たちはポール・トゥ・ウィンを目指すということで。ま、それはいつも目指していることなので、今回特別に、というようなことはないんです。ただやっぱりチャンピオンシップがかかる最後の戦いで、権利を残した状態で迎えられるという数少ないクルマの一台なので、そのなかできっちりポール・トゥ・ウィンを決められたら一番いいなと思っています。シリーズチャンピオン争いとは関係なくまだ勝っていないし、しっかり勝ち切って最終戦を終われたら一番いいのかなと思います。
── では、最後に。今一番興味・関心のあることは何か、教えてください。
石浦:最近ちょっと新しい趣味を始めまして。ちょっとSNSには載せたんですけど、周りの影響もあって、ドリフト用のクルマを買いまして。先日、日光サーキットで行われた走行会にクルマを持ち込んで、大嶋(和也)とか佐々木さん(雅弘)、平良(響)や小高(一斗)、あと松井(孝允)と一緒に、“普通に”申し込み書を書いて、みんなで一般のドリフト走行会に参加しました。そこでドリフトの練習をしてきたんですが、初めてだったのですごく楽しかったですね。なかでも大嶋は今、競技に出てますが、競技に出るとたぶんすごく緊張もするだろうし、プレッシャーもあると思うので、楽しむこととはまた違うと思うんですよね。ドリフト用に改造されたクレスタっていう昔のクルマを買ったんですけど、そういう“おもちゃ”を手に入れて、みんなでうまくなるために練習をするという感覚が新鮮で。元からクルマは好きだし、ドリフトも見るのは好きだったんですが、まさかその練習できるなんてうれしいですし、できなかったことを練習するとうまくなっていくみたいな感覚がすごい楽しくて(笑)。まだ一回しか行ってないんですけど、次また行く計画を立てています。今年から始めた習い事みたいな感じですかね。
文:島村元子
島村 元子