「現時点での金融引き締めは適切でない」日銀・黒田総裁会見6月17日(全文2完)
政策修正した場合、経済にどのような影響があるのか
共同通信:共同通信の【・・・※聞き取り困難・・・】と申します。先ほど、総裁は為替をターゲットに金融政策を運営することはないと繰り返しおっしゃいました。値上げに苦しむ家計や企業の一部では日銀の金融政策の修正による円安の是正を望む声さえあります。現在の日本の経済環境で仮に日銀が金融引き締め的な政策修正をした場合に、経済にはどのような影響があるとお考えでしょうか。 黒田:これは非常にシンプルな話で、先ほど来申し上げているようにコロナ禍からの回復途上で、まだGDPもコロナ前の水準よりも2%強下回っているという状況にありますので、そういったところで金融引き締めをする、金利を引き上げるっていうことにすれば、当然経済はさらに下向きに動いてしまうと。景気も悪くなるっていうだけじゃなくて、経済成長も大きなマイナスになるとか、そういったことになる恐れがありますので、今の時点でそういった金融引き締めを行うということは適切ではないというふうに思っております。 男性:それでは。
大企業、金持ち優遇、庶民二の次が日銀の考えか
横田:フリーの横田一ですけども、東京大学、吉川洋名誉教授は、先進国の中で物価高と賃金下落を招いたのは日本だけだと金融緩和政策を批判しているんですが、結局、アベノミクスの柱である金融緩和は大企業、お金持ちは株安、円安でもうかっても、庶民は物価高で苦しむというのが結論、結果だと思うんですが、これを是正しないのはなぜなんでしょうか。大企業、金持ち優遇、庶民二の次というのが日銀のお考えなのか。アベノミクスを否定すると安倍さんに怒られるとか、忖度してるとか、そういう理由なんでしょうか。このままだと黒田インフレと言われかねないと思うので、ご反論をお願いします。 黒田:まったくそういうふうに考えておりません。2013年の1月に日本銀行の政策委員会の独自の判断で2%の物価安定目標を決め、それが政府と日本銀行の共同声明にも採用され、2013年の4月から量的・質的金融緩和というものが始まったわけですが、そうした下で、それまで15年続いたデフレは、デフレのない状況になり、ベアも復活し、経済成長も復活し、そうした下で、先ほど来、申し上げているようにデフレではなくなったわけですが、残念ながら2%の物価安定の目標は達成されてなかったということであります。しかし、そうした中で、雇用も非常に大きく拡大し、そういった面では所得も幅広く上昇したということがありますので、ご指摘のようなことはまったくなかったというふうに考えております。 従いまして、今の足元の2%の物価の上昇は、そういったことによって上昇しているのではなくて、国際的な資源価格の上昇によって上昇している、コストプッシュ型のインフレですので、交易条件が悪化し、所得が海外に流出して、経済を下押しするという恐れがあるわけですので、今、コロナ禍からの回復過程にある日本経済をしっかりと支えていく必要があるというふうに考えております。 幹事社:では、ほかに質問もないようですので、ありがとうございました。 (完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見6月17日