東京に憧れない変わり者シェフ二人が地方の食文化を大化けさせるキーパーソン⁉
美術館に飾るような器で佐賀の美食を楽しむプレミアムレストラン「USEUM SAGA(ユージアム サガ)」に伺ってきました。5回目となったこのイベントの現在地とは? 成果と課題とは?
新しいローカルガストロノミーのあり方を提唱する「USEUM SAGA(ユージアム サガ)」
年末に佐賀県佐賀市で、県主催によるレストランイベント「USEUM SAGA(ユージアム サガ)」が開催されました。佐賀の郷土文化である有田焼などの美術館に飾るような器を使い、佐賀の食材を才能豊かな料理人たちの技で仕上げた料理が楽しめる期間限定のプレミアムレストランは、今回が5回目の開催です。 コロナ禍による4年ほどの自粛期間があったとはいえ、近年、訪日外国人旅行者数は増え続け、彼らの多くが「日本食」を求めてやってくることから、その目的を叶える観光推進策のひとつとして「ガストロノミーツーリズム」という言葉があちこちで聞かれるようになってきています。 ガストロノミーツーリズムとは「その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズム」を意味します(※)。 観光誘致に繋がるのはもちろん、それをきっかけに地元の産業が発展すれば良いことづくめ。既に国内でも多くの自治体で様々な取り組みが行われており、「USEUM SAGA」もそんなイベントのひとつと捉えられます。 ※UNWTO(国連世界観光機関)による定義。
佐賀県は山口祥義知事がグルメに関するPRに積極的で、2020年には「アジアベストレストラン50」を日本に初誘致するなど、実績も積んで全国的なグルメ県としても注目も浴びています。 今回のイベントでは、佐賀市内で「カレーのアキンボ」というスパイス料理の人気店を開く川岸真人シェフと、沖縄・宮古島を拠点に琉球ガストロノミーを提唱して高い評価を得ている渡真利泰洋シェフがコラボレーションして、佐賀食材の新たな魅力を伝える特別なディナーを振る舞いました。 ふたりの地元愛、料理愛が矢のように飛び交う刺激的なディナーの中身は写真でお伝えするとして、本記事ではイベントの仕掛人である佐賀県流通・貿易課の安冨喬博さん、そして参加した二人のシェフにも話を伺いました。5回目となったこのイベントの現在地とは? 成果と課題とは?