東京に憧れない変わり者シェフ二人が地方の食文化を大化けさせるキーパーソン⁉
この日のディナーはデザートまで入れると全12皿。どれもが独創的かつ味わい深い印象的なメニューでしたが、そのすべてをご紹介。 1皿目は「水イカのパフェ」。イカ・菊芋・パパイヤを組み合わせた色鮮やかな一品。器は江戸時代から一子相伝で「鍋島焼」を継承してきた今右衛門窯。 2皿目は「カキトカブ」。東鶴酒造の酒粕、乾燥させた月桃を使ったアイスクリームの上に大ぶりの生ガキ。上にはカブとカブのジュレがかけてある。器は焼き物を窯に入れて焼成する際、焼き物が付着してしまわないよう焼台として下に敷く窯道具の「ハマ」を使用。 3皿目は「ポーポー」。ポーポーは沖縄のクレープのような料理。中身は伊良部島のなまり節をカレーにしたものと、生のヨモギ。料理の下に敷いているのは梶の木の繊維を粗く繋いだ和紙のプレート。製作した名尾手すき和紙は梶の木の栽培から製品まですべての工程を一貫して行っている。
そうすると、佐賀はもともと食材は豊かなので、近くのスーパーに行けば地元のものはすぐ手に入るのですが、一方で、作っている人の背景とかまではなかなか意識が向かない現実が分かってきた。料理人さんもせっかく地元にいても、忙しいのもあるけれど、作っている人の背景がなかなか見えないとか、作り手さん同士の接点が少なかったりもする。 器に関してはもっと厳しくて、そもそも佐賀の飲食店さんであっても有田焼を使っていないとか、有田に行ったことがないとか。もちろん、中にはすごく地元にこだわっている料理人さんたちもいるのですが、そういう方ばかりではない。そこをどうにかするためにも、僕らは地元の料理人さんにもう少し目を向けるべきだと思ったのです。
蓄積した情報やネットワークのノウハウを地元に還元できていなかった
── 県内に改めて目を向けることで気づきがあったと。 安冨 はい。県の事業としてのミッションは地元の農家さんとか焼き物屋さんと、地元のレストランさんをマッチングすることで、そこで取引が生まれていく。産業としてちゃんと地元でお金が回っていく仕組みを作っていこうという、そういう事業成果と言うか事業目的を掲げながらやっていくということもあります。