なぜ天皇杯で“ジャイキリ”が続出したのか…順大がFC東京、Honda が横浜F・マリノスを撃破
サッカー界にジャイアントキリングの嵐が吹き荒れた。天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会の2回戦26試合が9日に全国各地で行われ、J1勢のFC東京、横浜F・マリノス、ベガルタ仙台が初戦で姿を消す大番狂わせが起こった。 味の素フィールド西が丘で順天堂大学(千葉県代表)と対峙したFC東京は、1-1のまま突入した延長前半終了間際にPKを献上。これをFC東京U-18出身のMF小林里駆(2年)に決められ、クラブ史上で初めて大学生相手に敗れる屈辱を味わわされた。 1982年度の全国高校サッカー選手権を制した清水東(静岡)の同期生で、大榎克己氏とともに“清水三羽がらす”として一世を風靡した長谷川健太、堀池巧両氏が初めて指揮官同士で対峙した一戦。日本代表でも共闘した幼馴染みが率いる順天堂大との対決を、J1歴代2位の210勝をあげているFC東京の長谷川監督も心待ちにしてきた。 もっとも、先発として送り出した11人の顔ぶれは直近の公式戦、5日の湘南ベルマーレとのYBCルヴァンカップ・プレーオフ第1戦から全員を入れ替えた。 ホームでの第1戦を0-1で落としたFC東京は、逆転でのルヴァンカップベスト8進出をかけて、13日に再び湘南と対峙する。プレーオフの狭間で迎えた天皇杯初戦の先発には、公式戦デビューとなるFC東京U-18所属の2種登録選手、17歳のMF安田虎士朗を含めて、J1リーグ戦の合計プレー時間が500分に満たない選手が8人を数えた。 失うものがない大学生との対戦を、長谷川監督は「油断はない」と位置づけていた。胸を貸すのではなく全力で叩き潰すというメッセージを、出場機会に飢えている選手を中心とした布陣に託した。実際に前半開始9分には右サイドを攻略し、サイドバック中村拓海が送ったクロスのこぼれ球をFW永井謙佑が押し込んで先制した。 しかし、その後は必死に食い下がる順天堂大から追加点を奪えない。後半途中からFWディエゴ・オリヴェイラ、MF三田啓貴、FWアダイウトン、MF高萩洋次郎を次々と投入するも状況を変えられないなかで、後半43分に同点に追いつかれてしまった。 決勝点となるPKをゴール右隅へ決めた小林をはじめ、DF長谷川光基(4年)、MF寺山翼(3年)と順天堂大の先発メンバーにはFC東京U-18出身者が3人いた。 全員がトップチームへ昇格できず、悔しさを募らせていた高校卒業時に「4年後に見返そう」と堀池監督から誘われた。13日には関東大学サッカーリーグの立正大戦を控えるなかで、チームトップの3ゴールをあげている小林を含めたベストメンバーで臨んだ堀池監督は、ベンチにいるFC東京の主力を「引っ張り出そう」と檄を飛ばした。 「チームとしてもそうですけど、選手たち個人としても自信になると思います」