川崎Fが代表組主力を5人欠いても無敗継続…最強チームが負ける“Xデー”は来るのか?
王者を背負ってきた5人の主力が、敵地・ニッパツ三ツ沢球技場のピッチにいない。3日に札幌ドームで史上初の“兄弟対決”に臨む日本代表に2人を、東京五輪世代のU-24日本代表には3人を輩出しながら、それでも川崎フロンターレは強かった。 33歳のベテラン、FW小林悠が2ゴールを奪い、守っては最下位の横浜FCを零封した2日の明治安田生命J1リーグ第21節。6月下旬から集中開催されるACLのグループリーグに川崎が臨む関係で、7月3日から本来ならばリーグ戦が中断される国際Aマッチデー期間中へ前倒しされた一戦は、別の意味でも異彩を放っていた。 キャプテンのセンターバック谷口彰悟、開幕からフルタイム出場を続ける右サイドバック山根視来がA代表に招集。さらに中盤のダイナモ田中碧、サイドバックからインサイドハーフ、ウィングと幅広くプレーできる旗手怜央、すでに8ゴールをあげている2年目のMF三笘薫がU-24代表に招集されて川崎を留守にしていた。 主力選手が同時に5人も抜ければ、普通はチーム力が落ちる。大切なリーグ戦へ臨む状況を考慮してほしいと、日本サッカー協会に対して愚痴のひとつでもこぼしたくなる。それでも前節にはJ1史上で最速となる通算100勝を達成した川崎の鬼木達監督は「欲を言えば、もっと(代表に)入ってほしい」と前を見すえていた。 意外に聞こえる発言の真意は横浜FC戦の選手起用にある。右サイドバックにリーグ戦デビューのイサカ・ゼインを送り出し、インサイドハーフの一角にはルーキー橘田健人を開幕3試合目の第2節以来となる先発で起用。後半アディショナルタイムには公式戦でプレーした経験がなかった、身長183cmの大型左サイドバック神谷凱士を送り出した。 5人が不在となる非常事態を逆転の発想で、実戦を介してチームを底上げさせるチャンスに変える。なおかつ勝利を収める展開に、試合後の鬼木監督は言葉を弾ませた。 「新しい選手たちも持ち味を出して頑張ってくれたし、彼らをベテランの選手たちが一丸になってサポートし、引っ張ってくれたことがすごく嬉しかった」 年間の勝ち点や勝利数、総得点数などの歴代記録を塗り替える、圧倒的な独走でリーグ優勝を決めたのが昨年11月25日のガンバ大阪戦。その一戦からシーズンをまたいで継続してきた連続無敗記録は20勝6分けの「26」に伸び、2012シーズンから翌年にかけて大宮アルディージャがマークした「21」を超えて歴代最長を大きく更新した。 同時に今シーズンの開幕からの連続無敗記録も17勝4分けの「21」となり、こちらも浦和レッズが2015シーズンにマークした「19」を超えて歴代最長になっている。