特別レシピ公開!「宇宙の香りのコーヒー」は本当に作れるのか?
宇宙の色はカフェラテの色?
コーヒーは「宇宙の香り」だけでなく、「宇宙の色」とも接点がある。 1997~2002年にかけて、オーストラリアのサイディングスプリング天文台で行われた「2dF銀河赤方偏移サーベイ」で、20万個以上の銀河の観測データを元に、Karl GlazebrookとIvan Baldryを中心とするジョンホプキンス大学の研究チームが「銀河の色の平均値」を算出した(https://www.astro.ljmu.ac.uk/~ikb/Cosmic-Spectrum.html)。その結果、導き出されたのは、ほとんど白に近い、薄いベージュ色。その色が「ミルクたっぷりのカフェラテ」を思わせることから「コズミック・ラテ Cosmic Latte」と命名された(関連記事『お答えします 宇宙の「色」は「クリーム色」でした!』https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56687)。 カフェラテというと、今は「エスプレッソに、泡立てた牛乳をたっぷり入れたもの」を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、Caffe latteというイタリア語はエスプレッソの発明(1884年)よりもずっと前、18世紀初頭から存在し、当初はフランスのカフェオレと同じものを指していた。 今のスタイルがいつ生まれたかは不明だが、イタリアでエスプレッソマシンに蒸気を吹き出すノズル(もともとはボイラー圧を手元で調節するためのもの)が付いた1950年代以降なのは間違いないだろう。アメリカでは1959年にカリフォルニアのCaffè Mediterraneumという店がメニューに乗せたのが最初で、ご存知スターバックスの看板メニューになった1980年代以降、誰もが知る飲み物になったと言える。 じつは、「宇宙の色」が最初(2002年1月)に発表されたときは、現在の薄いベージュ色ではなく、薄い青緑色だった。ところが数週間後、プログラム上のミスが発覚して訂正された経緯がある。このときGlazebrookが、色の呼び名について、冗談半分で「ベージュ(英語では『ありきたりで退屈』なニュアンスがある)以外なら何でもいいよ」と言ったことがメディアに取り上げられ、名前を提案するメールが多数寄せられた。 最終的に、候補を10個に絞ってジョンホプキンス大の天文学者たちによる投票がおこなわれたが、結局GlazebrookとBaldryの二人が「審査員権限」で、得票数7位の「コズミックラテ」に決めたそうだ(https://www.astro.ljmu.ac.uk/~ikb/Cosmic_Spectrum_files/topten.htm)。 「ラテ Latte」がガリレオ・ガリレイの母語であるイタリア語で「ミルク」を意味することと、天の川を意味する「ミルキーウェイ」(イタリア語でVia Lattea)に通じることも選ばれた理由だったという。